補集合

共通部分と補集合

1つの集合 $U$ を定めておいて、$U$ の要素や、$U$ の部分集合だけを考えるとき、$U$ を全体集合 (universal set) という。全体集合 $U$ の部分集合 $A$ に対して、$U$ の要素ではあるが $A$ に属さない要素全体の集合を $A$ の補集合 (complement) といい、$\overline{A}$ で表す。

補集合を表す図

補集合を表す図

つまり \[\overline{A}=\{x|x\in{U}かつx\not\in{A}\}\] である。

《例》$X=\{1,2,3,4,5\}$、$Y=\{1,3,5\}$ のとき、全体集合 $X$ に関する $Y$ の補集合 $\overline{Y}$ は \[\overline{Y}=\{2,4\}\]

暗記集合の性質~その2~

集合の性質~その2~

集合の性質~その2~

次の等式が成り立つことを、図をつかって確認せよ。

  1. $\overline{\left(\overline{A}\right)}=A$
  2. $A\cup\overline{A}=U$、$A\cap\overline{A}=\emptyset$
  3. $\overline{A\cup{B}}=\overline{A}\cap\overline{B}$、 $\overline{A\cap{B}}=\overline{A}\cup\overline{B}$

  1. まず、$A$ の補集合 $\overline{A}$ は
    $A$ の補集合
    であるから、$A$ の補集合の補集合 $\overline{\left(\overline{A}\right)}$ は
    $A$ の補集合の補集合
    であり、これは $A$ と一致する。
  2. $A$ と $\overline{A}$ はそれぞれ
    $A$ と $A$ の補集合
    であるから、$A$ と $\overline{A}$ の和集合 $A\cup\overline{A}$ と、共通部分 $A\cap\overline{A}$ はそれぞれ
    $A$ と $\overline{A}$ の和集合と共通部分
    であり、これらは $U$、$\emptyset$ と一致する。
  3. まず、$A\cup{B}$ は
    $A$ と $B$ の和集合
    であるから、その補集合 $\overline{A\cup{B}}$ は
    $A$ と $B$ の和集合の補集合
    である。

    また、$\overline{A}$、$\overline{B}$ はそれぞれ
    $A$ の補集合と $B$ の補集合
    であるから、これらの共通部分 $\overline{A}\cap\overline{B}$ は
    $A$ の補集合と $B$ の補集合の共通部分
    であり、これは先程の $\overline{A\cup{B}}$ に一致する。

    最後に $\overline{A\cap{B}}=\overline{A}\cup\overline{B}$ を確認する。まず、$A\cap{B}$ は
    $A$ と $B$ の共通部分
    であるから、その補集合 $\overline{A\cap{B}}$ は
    $A$ と $B$ の共通部分の補集合
    である。

    また、$\overline{A}$、$\overline{B}$ はそれぞれ
    $A$ の補集合と $B$ の補集合
    であるから、これらの和集合 $\overline{A}\cup\overline{B}$ は
    $A$ の補集合と $B$ の補集合の和集合
    であり、これは先程の $\overline{A\cap{B}}$ に一致する。

集合の性質~その2~

集合 $A$、$B$ に関して次のことが成り立つ。

  • iii. $\overline{\left(\overline{A}\right)}=A$
  • iv. $A\cup\overline{A}=U$、$A\cap\overline{A}=\emptyset$
  • v. $\overline{A\cup{B}}=\overline{A}\cap\overline{B}$、$\overline{A\cap{B}}=\overline{A}\cup\overline{B}$
特に、このvの性質は有名で、ド・モルガンの法則 (law of de Morgan) と呼ばれている。

なお、iii の左辺にある集合 $A$ の補集合の補集合 $\overline{\left(\overline{A}\right)}$は、簡単に$\overline{\overline{A}}$ と書くことがある。

暗記3集合の場合のド・モルガンの法則

次の等式を集合の性質~その1~集合の性質~その2~ を用いて証明せよ。

  1. $\overline{A\cup{B}\cup{C}}=\overline{A}\cap\overline{B}\cap\overline{C}$
  2. $\overline{A\cap{B}\cap{C}}=\overline{A}\cup\overline{B}\cup\overline{C}$

  1. まず $A\cup{B}$ を1かたまりとして考えていく。 \begin{align} &\overline{A\cup{B}\cup{C}}\\ =&\overline{(A\cup{B})\cup{C}}\\ =&\overline{A\cup{B}}\cap\overline{C}\\ =&\overline{A}\cap\overline{B}\cap\overline{C} \end{align}
  2. まず $A\cap{B}$ を1かたまりとして考えていく。 \begin{align} &\overline{A\cap{B}\cap{C}}\\ =&\overline{(A\cap{B})\cap{C}}\\ =&\overline{A\cap{B}}\cup\overline{C}\\ =&\overline{A}\cup\overline{B}\cup\overline{C} \end{align}