共通部分と和集合

共通部分

2つの集合 $A$、$B$ について、$A$ と $B$ の両方に属する要素全体の集合を、$A$ と $B$ の共通部分 (common part) といい、$A\cap{B}$ と表す。

共通部分を表す図

共通部分を表す図

つまり \[A\cap{B}=\{x|x\in{A}かつx\in{B}\}\] である。$A$ と $B$ に共通の要素がない場合には $A\cap{B}=\emptyset$ となる。特に、$A\cap{A}=A$ である。

《例》$X=\{1,2,3,4,5\}$、$Y=\{1,3,5,6\}$、$Z=\{2,4\}$ のとき \[X\cap{Y}=\{1,3,5\}~,~Y\cap{Z}=\emptyset\]

和集合

2つの集合 $A$、$B$ について、$A$ と $B$ の少なくとも一方に属する要素全体の集合を、$A$ と $B$ の和集合 (sum of sets) といい、$A\cup{B}$ と表す。

和集合を表す図

和集合を表す図

つまり \[A\cup{B}=\{x|x\in{A}またはx\in{B}\}\] である。特に、$A\cup{A}=A$ である。

《例》$X=\{1,2,3,4,5\}$、$Y=\{1,3,5,6\}$ のとき \[X\cup{Y}=\{1,2,3,4,5,6\}\]

吹き出し和集合

$\cup$ はコップのような形をしていて、$\cap$ はこれを裏返したような形をしている。$\cup$ には水がいっぱい入るが、$\cap$ には水がほとんど入らない。これと対応させて、要素の個数が多くなる方が $\cup$、少なくなる方が $\cap$ と覚えよう。

暗記集合の性質~その1~

集合の性質

集合の性質

次の等式が成り立つことを、図をつかって確認せよ。

  1. $(A\cup{B})\cup{C}=A\cup(B\cup{C})$
    $(A\cap{B})\cap{C}=A\cap(B\cap{C})$
  2. $A\cup(B\cap{C})=(A\cup{B})\cap(A\cup{C})$
    $A\cap(B\cup{C})=(A\cap{B})\cup(A\cap{C})$

  1. $(A\cup{B})\cup{C}$ と $A\cup(B\cup{C})$ は図において、ともに $a$、$b$、$c$、$p$、$q$、$r$、$s$ のすべてを表し等しい。
    また、$(A\cap{B})\cap{C}$ と $A\cap(B\cap{C})$ は図において、ともに $s$ の部分を表し等しい。
  2. $A\cup(B\cap{C})$ と $(A\cup{B})\cap(A\cup{C})$ は図において、ともに $a$、$p$、$q$、$r$、$s$ の部分を表し等しい。
    また、$A\cap(B\cup{C})$ と $(A\cap{B})\cup(A\cap{C})$ は図において、ともに $q$、$r$、$s$ の部分を表し等しい。

集合の性質~その1~

集合 $A$、$B$、$C$ に関して次のことが成り立つ。

  1. $(A\cup{B})\cup{C}=A\cup(B\cup{C})$、$(A\cap{B})\cap{C}=A\cap(B\cap{C})$
  2. $A\cup(B\cap{C})=(A\cup{B})\cap(A\cup{C})$、$A\cap(B\cup{C})=(A\cap{B})\cup(A\cap{C})$

i は $\cup$ どうしや $\cap$ どうしの演算では、順序は関係のないことを意味しているので、かっこを省略してそれぞれ $A\cup{B}\cup{C}$、$A\cap{B}\cap{C}$ と表すことがある。また、ii は、式の展開法則 $A\times(B+C)=A\times{B}+A\times{C}$ と似ていることに注意すると覚えやすい。