複2次式の因数分解

ここでは、$x^2$ を1つのかたまりとして表される多項式のなかでも、特に複2次式とよばれる多項式についての因数分解について考えよう。

複2次式の定義

$a$、$b$、$c$ を実数の定数とするとき \[ax^4+bx^2+c\] という形の多項式を複2次式 (compound quadratic expression) という。 ただし、$a\neq0$ とする。

例として、次の2つの複2次式の因数分解についてみてみよう。

  1. $x^4-13x^2+36$
  2. $x^4+2x^2+9$

  1. $x^4-13x^2+36$ の因数分解
    この複2次式は、$x^2=X$ とおくと、$X^2-13X+36=(X-4)(X-9)$ であるから \begin{align} &x^4-13x^2+36\\ =&(x^2-4)(x^2-9)\\ =&(x+2)(x-2)(x+3)(x-3) \end{align} と因数分解できる。
  2. $x^4+2x^2+9$ の因数分解
    この複2次式は、$x^2=X$ とおいても、$X^2+2X+9$ となるだけで因数分解が進まない。
    そこで、$x^4$ と $9$ に着目すると \begin{align} &x^4+2x^2+9\\ =&x^4+6x^2+9-4x^2\\ &\blacktriangleleft 2x^2に4x^2を加え\\ &\qquad平方の形が作れるようする\\ =&\underbrace{(x^2+3)^2}_{平方の形にする。}-(2x)^2\\ &\blacktriangleleft \bigcirc^2-\triangle^2の形\\ =&\left\{(x^2+3)+2x\right\}\left\{(x^2+3)-2x\right\}\\ =&(x^2+2x+3)(x^2-2x+3) \end{align} となり因数分解ができる。

複2次式の因数分解

複2次式 $ax^4+bx^2+c$ の因数分解には

  1. $x^2=X$ とおくことにより因数分解できる場合
  2. $ax^4$ と $c$ に着目し、$x^2$ の項を付け加えて因数分解できる場合
の2つの場合がある。

吹き出し無題

1.の方法でうまくいかない場合に、2.の方法を試すと覚えておくとよい。 詳しくは『付録A.2』参照

複2次式の因数分解

次の式を因数分解せよ。

  1. $x^4−7x^2−8$
  2. $x^4+x^2+1$

  1. $x^2=X$ とおくと \begin{align} &x^4-7x^2-8\\ =&X^2-7X-8\\ =&(X+1)(X-8)\\ =&\boldsymbol{(x^2+1)(x^2-8)} \end{align}
  2. $x^4$ と $1$ に着目して \begin{align} &x^4+x^2+1\\ =&x^4+2x^2+1-x^2\\ =&(x^2+1)^2-x^2\\ =&(x^2+1+x)(x^2+1-x)\\ =&\boldsymbol{(x^2+x+1)(x^2-x+1)} \end{align}