標本空間と事象の例1:さいころ投げの場合

ここでは,さいころ投げを例にとり,標本空間の作り方と事象の表し方 をいくつかの視点から見てみよう.同じ試行であっても,標本空間の作り方にはいろいろあるのだ,という点に特に注目してもらいたい.

説明文

説明文

試行として

「1から4の目が書かれた正四面体のさいころを2回振る」を考えてみる.

この試行は,表のように,1回目に出た目と2回目に出た目の順列で

$_{4}\Pi_{2}=4^2=16$ 通り

にまとめることができる.

\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline &1&2&3&4\\\hline 1&1,1&2,1&3,1&4,1\\\hline 2&1,2&2,2&3,2&4,2\\\hline 3&1,3&2,3&3,3&4,3\\\hline 4&1,4&2,4&3,4&4,4\\\hline \end{array}

これをもとに,標本空間 $U$ を

\begin{align} U=\{&(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),\\ &(2,1),(2,2),(2,3),(2,4),\\ &(3,1),(3,2),(3,3),(3,4),\\ &(4,1),(4,2),(4,3),(4,4)\ \} \end{align}

ととれば,例えば

事象 $A$ :「1の目と2の目が出る」

は $U$ の部分集合を用いて

$A=\{(1,2),(2,1)\}$

と表すことができる.

また,この試行は,表のように,1回目に出た目と2回目に出た目の重複組合せで $_{4}\mathrm{Η}_{2}=\ _{4+2−1}\mathrm{C}_{2}=10$ 通りにまとめることができる。

\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline &1&2&3&4\\\hline 1&1,1&―&―&―\\\hline 2&1,2&2,2&―&―\\\hline 3&1,3&2,3&3,3&―\\\hline 4&1,4&2,4&3,4&4,4\\\hline \end{array}

これをもとに,標本空間 $U'$ を

\begin{align} U'=\{&(1,1),\\ &(1,2),(1,3),\\ &(1,4),(2,2),(2,3),\\ &(2,4),(3,3),(3,4),(4,4)\ \} \end{align}

ととれば

事象 $A$ :「1の目と2の目が出る」

$U'$ の部分集合を用いて

$A=\{(1,2)\}$

と表すことができる.