ベクトルの1次独立の定義(空間)

2 つの$\vec{a},\vec{b}$ が1 次独立であることの定義は,「ベクトルの1 次独立の定義」で見たように

\[s\vec{a} + t\vec{b} = \vec{0}\]

を満たす実数$s,t$ が$s = t = 0$ のときに限る,ことであった.

ここでは,これを拡張して,3 つの$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ に関する1 次独立を次のように定義する.

1 次独立の定義

「$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ が1 次独立である」とは

\[s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = \vec{0}\]

を満たす実数$s,t,u$ が$s = t = u = 0 $のときに限る,ことである.

ベクトルの1 次独立の定義の図その1

たとえば,右図のように空間内にある$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$では

\[s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = \vec{0}\]

となる$s,t$ は$s = t = u = 0$ のときに限られるので,$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ は1 次独立である.

ベクトルの1 次独立の定義の図その2

また,左図のように同一平面上にある$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$($\vec{c} = \vec{a} + 2\vec{b}$ を満たす)では,$s = t = u = 0$ のとき以外に も,たとえば$s = −1,t = −2,u = 1$ のときや,$s = 2, t = 4,u = −2$ のときも

\[s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = \vec{0}\]

を満たすので,$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ は1 次独立であるとはいえない.

つまり,次のようなことがいえる.

1 次独立なベクトルと平行でないベクトル

$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ が1 次独立であるならば,$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ は同一平面内にない.逆に,$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ が同一平面になければ,$\vec{a},\vec{b},\vec{c}$ は1 次独立である.

つまり

「$\vec{a}$ と $\vec{b}$ が1次独立」 $\Longleftrightarrow$ $\vec{a}$、$\vec{b}$、$\vec{c}$ が同一平面内にない

である.

証明は省略.