ベクトルの1次独立の定義

1 次独立の定義

「$\vec{a}$ と$\vec{b}$ が1 次独立(linearly independent) である」とは

\[s\vec{a} + t\vec{b} = \vec{0}\]

を満たす実数$s,t$ が$s = t = 0$ のときに限る,ことである.

ベクトルの1 次独立の定義の図その1

たとえば,右図のように平行でない$\vec{a},\vec{b}$ では

\[s\vec{a} + t\vec{b} = \vec{0}\]

となる$s,t$ は$s = t = 0$ のときに限られるので,$\vec{a}$ と$\vec{b}$は1 次独立である.

ベクトルの1 次独立の定義の図その2

また,左図のように平行な$\vec{a},\vec{b}$ では,$s = t = 0$ のとき以外にも,たとえば$s = \dfrac{3}{2},t = −1 $のときにも

\[s\vec{a} + t\vec{b} = \vec{0}\]

を満たすので,$\vec{a}$ と$\vec{b}$ は1 次独立であるとはいえない.

つまり,次のようなことがいえる.

1 次独立なベクトルと平行でないベクトル

$\vec{a},\vec{b}$ が1 次独立であるならば,$\vec{a}$ と$\vec{b}$ は平行でない.逆に,$\vec{a}$ と$\vec{b}$ が平行でなければ,$\vec{a},\vec{b}$ は1 次独立である.

つまり

「$\vec{a}$ と$\vec{b}$ が1 次独立」$\Longleftrightarrow\vec{a}\parallel \hspace{-.77em}/ \vec{b}$

である.

証明は背理法による.