正弦と余弦の定義
正接の場合と同じように、∠C が直角である直角三角形 ABC において、∠A から見たときの (対辺)(斜辺)=BCAB の値や、(底辺)(斜辺)=ACBA の値は、△ABC の大きさに関係無く、∠A の大きさだけで決まる。
正弦と余弦の例

たとえば、図の △AB'C' は △ABC の0.75倍の大きさで描かれているが B'C'AB'=0.75×BC0.75×AB=BCABAC'B'A=0.75×AC0.75×BA=ACBA となり直角三角形の大きさは関係ないのがわかる。
ここで、(対辺)(斜辺) の値を A の
また、\dfrac{(底辺)}{(斜辺)} の値を A の
正弦・余弦の定義
正弦と余弦の定義を表す図

右図の直角三角形 \text{ABC} において \begin{align} &\sin{A}=\dfrac{a}{c}\\ &\cos{A}=\dfrac{b}{c} \end{align} とする。
吹き出し正弦と余弦の定義
正弦の覚え方

余弦の覚え方

\sin{A} の値 \dfrac{a}{c} や、\cos{A} の値 \dfrac{b}{c} も、\tan のときと同じように、\sin の頭文字 s や、\cos の頭文字 c の筆記体の書き順に合わせて、図のように記憶するとよい。
\sin{A} とは、\angle\text{A} からみたときの斜辺に対する対辺の倍率を表し、\cos{A} とは、\angle\text{A} からみたときの斜辺に対する底辺の倍率を表す。
川を渡らずに川幅を知る方法の例で考えれば、斜辺は3.7cmと測れるから \sin35^\circ\fallingdotseq\dfrac{2.1}{3.7}\fallingdotseq0.57,~\cos35^\circ\fallingdotseq\dfrac{3}{3.7}\fallingdotseq0.81
正弦・余弦の定義
正弦・余弦の定義の図

次の図において、
- 長さ x、y を求めよ。
- \sin{A}、\cos{A} を求めよ。
- \sin{B}、\cos{B} を求めよ。
- 三平方の定理より、 \begin{align} &x=\sqrt{4^2+3^2}=\sqrt{25}=\boldsymbol{5}\\ &y=\sqrt{4^2+2^2}=\sqrt{20}=\boldsymbol{2\sqrt{5}} \end{align}
- 図より定義にしたがって
\begin{align} &\boldsymbol{\cos{A}=\dfrac{3}{5}}\\ &\boldsymbol{\sin{A}=\dfrac{4}{5}} \end{align}
- 図より定義にしたがって
\begin{align} &\cos{B}=\dfrac{4}{2\sqrt{5}}=\boldsymbol{\dfrac{2\sqrt{5}}{5}}\\ &\sin{B}=\dfrac{2}{2\sqrt{5}}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{5}}{5}} \end{align}