数学II 第1章 式と証明 — 高次方程式

この節の前提数学I2次方程式と2次関数/複素数/多項式の除法

前セクションでは、因数定理(factor theorem)を利用した因数分解を学んだ。これを利用すれば、3次以上の次数をもつ方程式(高次方程式)を解くこともできる。以下ではその方法を詳しく見ていこう。

因数定理と高次方程式

高次方程式とは何か

§

定理1次方程式

多項式が次式であるとき、 の形に表される方程式を次方程式(equation of n-th degree)という。

たとえば、 は3次方程式、 は4次方程式である。 特に、3次以上の方程式を高次方程式(equation of higher degree)という。

簡単な高次方程式

高次方程式 を解くことは、一般的には難しいが、因数分解できるときには簡単に解くことができる。 たとえば、方程式 では

と解を求めることができる。

問題1簡単な高次方程式

次の方程式を複素数の範囲で解け。

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3乗して になる数を の3乗根といい、方程式 の解として求めることができる。 さきほどの例から、1の3乗根はである。

暗記11の3乗根

1の3乗根のうち、虚数であるものの1つをとするとき、次のことを証明せよ。

  1. 別のもう1つの虚数解はでありと一致する。
解答を見る
  1. は の解であるので明らか。

  2. を解くと

    このうち、またはがであるが、これらはどちらも、方程式 の解であるので、 である。

  3. は共役の関係にあり

    より、 が成り立つ。

問題22次方程式に帰着できる高次方程式

次の方程式を複素数の範囲で解け。

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因数定理を利用した高次方程式の解法

すぐに因数分解が思いつかなくても、因数定理を利用して因数を探し当て、 因数分解を行うことができた。因数分解ができれば、高次方程式を解くこともできる。

問題3高次方程式

次の方程式を解け。

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  1. とおく。

    であるから、因数定理よりはを因数にもつのがわかる.

    よって、 は

    左上に1、1行目に1, 3, 0, -4を並べ、2行目に1, 4, 4を置き、最下行に1, 4, 4と右下の枠囲み内に余り0を導いた、組立除法の計算過程。
  2. とおく。

    であるから、因数定理よりは を因数にもつのがわかる。

    よって、 は

    多項式の係数2、-7、0、9を -1 で割る組立除法の計算過程。最下段には商の係数である2、-9、9と、余りの0が示されている。
  3. とおく。

    であるから、因数定理よりはを因数にもつのがわかる。

    よって

    1を立てた組立除法の計算。1行目に1, -6, 7, 6, -8、2行目に1, -5, 2, 8が並び、最下行に商の係数1, -5, 2, 8とあまり0が示されている。

    さらに、 とおくと

    であるから、因数定理よりは を因数にもつのがわかる。

    よって

    -1を用いた組立除法の計算。上段に1, -5, 2, 8、中段に-1, 6, -8、下段に商の1, -6, 8とあまりの0が並んでいる。

    より、 である。

    以上より、 の解は、 となる。

  4. とおく。

    であるから、因数定理よりはを因数にもつのがわかる。

    よって

    多項式の係数1, -8, -2, 72, -63を1で割る組立除法の計算過程が示され、最下段に商の係数1, -7, -9, 63と余り0が記載されている。

    さらに、 とおくと

    であるから、因数定理よりはを因数にもつのがわかる

    よって

    左上に3を置き、上段に1、-7、-9、63を並べた組立除法の計算過程。中段に3、-12、-63が配され、下段には商の係数1、-4、-21と余りの0が示されている。

    より、 である。

    以上より、 の解は、 となる。

上の例題の(1)のように、方程式 の解 を、この方程式の2重解(double solution)という。 また、たとえば方程式 の解 を、この方程式の3重解(triple solution)という。

複素数の範囲では、方程式の2重解を重なった2個の解、3重解を重なった3個の解などと数えることにすると、 2次方程式では2個の解、3次方程式は3個の解、4次方程式では4個の解をもつ。 一般の場合では、次のことが知られている。

§

定理2代数学の基本定理

次方程式では、複素数の範囲で、個の解をもつ。

問題4方程式の重解条件

3次方程式 が重解をもつとき、定数 の値とそのときの解をすべて求めよ。 ただし、は実数である。

解答を見る

左辺に を代入すると となるので、の値によらず はこの方程式の解である。 よって、因数定理より左辺は を因数にもつ。

であるので、 とおくと、

3次方程式が重解をもつためには、 が に解をもつか、 が重解をもてばよい。

1) が に解をもつとき

より

このとき、 であるから、3次方程式の解は

2) が重解をもつとき

判別式を考えて

となる。

のとき

であるので、3次方程式の解は である。

のとき

であるので、3次方程式の解は である。

高次不等式

高次不等式とは何か

§

定理3次不等式

多項式が次式であるとき、 や などで表される不等式を 次不等式(inequality of n-th degree)という。

たとえば、 は3次不等式、 は4次不等式である。 特に、3次以上の不等式を高次不等式(inequality of higher degree)という。

なお、方程式の場合とは違い、不等式の場合には数の大小関係を扱うので、複素数については考えない、つまりは実数の範囲でのみ考える。

簡単な高次不等式

高次不等式を解くことは一般的には難しいが、高次方程式と同様、因数分解できるときには解くことができる。 たとえば、方程式 では

← を使った

いま、 なので、

つまり と解くことができる。

問題5簡単な高次不等式

次の不等式を解け。

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  1. いま、 なので、 となるのは、 、つまり である。

  2. いま、 なので、 となるのは、 、つまり である。

  3. いま、 の符号は の値に応じて、以下のようにまとめることができる。

    これより、 を満たすのは、 である。

    【別解:3次関数のグラフを使う方法】

    座標平面上に、x軸と -3、0、3 で交わる3次関数 y=x^3-9x の曲線が描かれている。x軸との交点である -3、0、3 の点には白抜きの丸印が付いている。

    とおくと

    より のグラフは図となるので、 を満たすのは、 である。

  4. いま、 の符号は の値に応じて、以下のようにまとめることができる。

    これより、 を満たすのは、 である。

    【別解:3次関数のグラフを使う方法】

    とおくと

    より のグラフは図となるので、 を満たすのは、 である。

    座標平面上に曲線 y=x^3-x^2 が描かれている。曲線は左下から伸びて原点Oでx軸に接し、一旦下がってからx軸上の点1で交わり右上へ伸びており、原点Oと点1の位置に黒丸が付いている。

因数定理を利用した高次不等式の解法

高次方程式の場合と同様に、 因数定理を利用して因数分解できれば、高次不等式を解くことができる。

問題6高次不等式

次の不等式を解け。

解答を見る
  1. とおく。

    であるから、因数定理より は を因数にもつのがわかる。

    組立除法をつかうなら

    多項式の係数1、3、0、-4に対し、1を用いた組立除法の計算が示されている。最下段には商の係数1、4、4と余りの0が並んでいる。

    よって、 は いま、 の符号は の値に応じて、以下のようにまとめることができる。

    これより、 を満たすのは、 である。

    【別解:3次関数のグラフを使う方法】

    xy平面上に 3次関数 y=x^3+3x^2-4 の曲線が描かれている。曲線は x軸と x=-2 で接し、x=1 で交わっており、x軸上の x=-2 と 1 の位置には白丸が付いている。

    とおくと より のグラフは図となるので、 を満たすのは、 である。

  2. とおく。

    であるから、因数定理より は を因数にもつのがわかる。

    組立除法をつかうなら

    左上に-1、1行目に2、-7、0、9、2行目に-2、9、-9があり、下線の下に商の係数となる2、-9、9と余りの0が並ぶ組立除法の計算過程。

    よって、 は いま、 の符号は の値に応じて、以下のようにまとめることができる。

    これより、 を満たすのは、 である。

    【別解:3次関数のグラフを使う方法】

    x軸、y軸のある座標平面上に、3次関数 y=2x^3-7x^2+9 のグラフが描かれている。グラフはx軸と x=-1、3/2、3 の3点で交わっている。

    とおくと より のグラフは図となるので、 を満たすのは、 である。

  3. とおく。

    であるから、因数定理より は を因数にもつのがわかる。

    組立除法をつかうなら

    組立除法において、左側に1、上段に1、-6、7、6、-8を並べ、計算後の下段に商の係数1、-5、2、8とあまりの0が並んでいる。

    よって さらに、 とおくと

    であるから、因数定理より は を因数にもつのがわかる。

    組立除法をつかうなら

    左側に-1を置き、1、-5、2、8に対する組立除法が示されている。計算結果として、商の係数1、-6、8と、余り0が下段に並んでいる。

    よって である。以上から、 は いま、 の符号は の値に応じて、以下のようにまとめることができる。

    これより、 を満たすのは、 である。

    x軸と-1、1、2、4の4点で交わる4次関数 y=x^4-6x^3+7x^2+6x-8 のW字型の曲線が、座標平面上に描かれている。

    【別解:4次関数のグラフを使う方法】

    とおくと より のグラフは図となるので、 を満たすのは、 である。

  4. とおく。

    であるから、因数定理より は を因数にもつのがわかる。

    組立除法をつかうなら

    左端に1を置き、1、-8、-2、72、-63の並びに対する組立除法の計算である。下段には商の係数である1、-7、-9、63と、あまりの0が書かれている。

    よって さらに、 とおくと

    であるから、因数定理より は を因数にもつのがわかる。

    組立除法をつかうなら

    3を用いた組立除法の計算で、1行目に係数1、-7、-9、63が並び、2行目に3、-12、-63、最下行に商の係数1、-4、-21とあまりの0が示されている。

    よって、 である。以上から は いま、 の符号は の値に応じて、以下のようにまとめることができる。

    これより、 を満たすのは、 である。

    座標平面上にW字状の曲線があり、x軸とx=-3、1、3、7の4点で交わっている。曲線はx=-3より左側とx=7より右側でx軸の上側にあり、1と3の間でもx軸の上側に突出している。

    【別解:4次関数のグラフを使う方法】

    とおくと より のグラフは図となるので、 を満たすのは、 である。

解と係数の関係

2次方程式の解と係数の関係

解と係数の関係

とし、2次方程式 を考える。 の2解をとすると、 なので、は および を因数にもつのがわかるので

とおける。

を展開すると であり

これらは多項式として等しいので、両辺の係数を比較して

が成り立つ。

§

定理42次方程式の解と係数の関係

2次方程式 の2解をとすると

が成り立つ。

問題72次方程式の解と係数の関係

次の2次方程式の2解をとする。 およびの値を求めよ。

解答を見る
  1. 2次方程式の解と係数の関係から

  2. 式全体をで割り、 。2次方程式の解と係数の関係から

問題82次方程式の解と係数の関係の利用

2次方程式 の2解をとするとき、次の式の値を求めよ。

解答を見る

2次方程式の解と係数の関係より

である。

  1.     > 対称式は基本対称式の組合せであらわすことができる<strong>対称式の定理</strong>
    

    【別解】 の両辺に を代入すると

問題92次方程式の解と係数の関係の逆

に関する連立方程式

の解は、2次方程式 の2解であることを証明せよ。

解答を見る

より

これをに代入して

これより、は2次方程式 の解であることがわかる。

また、このとき のにを代入すると

より

となり、も2次方程式 の解であることがわかる。

§

定理52次方程式の解と係数の関係の逆

に関する連立方程式

の解は、2次方程式 の2解である。

問題102次方程式の解と係数の関係の逆の利用

次の連立方程式を解け。

解答を見る
  1. 和が、積が となる2数は、2次方程式 の解である。

    より、 。

  2. 和が、積がとなる2数は、2次方程式 の解である。

    より、 。

  3. 連立方程式を変形していくと

    和が 、積が となる2数は、2次方程式 の解である。

    より、 。

  4. 連立方程式を変形していくと

    和が、積がとなる2数は、2次方程式 の解である。

    また

    より

3次方程式の解と係数の関係

とし、3次方程式 を考える。 の3解をとすると、 なので、は および を因数にもつのがわかるので

とおける。

を展開すると であり

これらは多項式として等しいので、両辺の係数を比較して

が成り立つ。

§

定理63次方程式の解と係数の関係

3次方程式 の3解をとすると

が成り立つ。

2次方程式と3次方程式に限らず、解と係数の関係は一般の次方程式まで成立する。

問題113次方程式の解と係数の関係

次の3次方程式の3解をとする。 およびの値を求めよ。

解答を見る
  1. 3次方程式の解と係数の関係から

  2. 式全体をで割り、 。3次方程式の解と係数の関係から

問題123次方程式の解と係数の関係の利用

3次方程式 の3解をとするとき、次の式の値を求めよ。

解答を見る

3次方程式の解と係数の関係より

である。

  1. 【別解】

    の両辺に を代入すると

実数が係数である方程式の共役解

2次方程式の場合

2次方程式 は

と解け、共役な複素数である と を解にもつのがわかる。

を実数とするとき、これらを係数とする2次方程式

は

と解けるので、判別式 の値が負であるとき、共役な複素数である

と

を解にもつことがわかる。

判別式の値が負のとき、2次方程式が共役な複素数を解にもつことは、 、次のような方法で示すこともできる。

を実数とするとき、これらを係数とする2次方程式

が という複素数解をもつとすると、 にを代入して

が成り立つ。

いま、 の左辺に を代入してみると

←共役な複素数の性質 ←複素数の実数条件と純虚数条件 ←共役な複素数の性質 ←共役な複素数の性質 ←より

となるので、は共役な複素数解 をもつ。

3次方程式の場合

暗記2実数係数の3次方程式の共役複素数解

を実数とするとき、これらを係数とする3次方程式

が という複素数解をもつとき、共役な複素数 も解にもつことを証明せよ。

解答を見る

が という複素数解をもつとすると、

にを代入して

が成り立つ。

いま、の左辺に を代入してみると

共役な複素数の性質

複素数の実数条件と純虚数条件

共役な複素数の性質

共役な複素数の性質

より

となるので、は共役な複素数解 をもつのがわかる。

一般に次のことがいえる。

§

定理7実数係数の次方程式の共役複素数解

係数がすべて実数である次方程式 が、 という複素数の解をもつ、すなわち

であるとき、 は共役な複素数 を解にもつ、すなわち

である。

問題13実数係数の次方程式の共役複素数解

実数係数の3次方程式

が を解にもつとき、実数の値と他の解を求めよ。

解答を見る

が を解にもつとき、それと共役な

複素数 も解にもつ.

よって、は

で割り切れるから

とおける。右辺を展開すると

となるので、係数を比較すると

他の解は、 。

【別解:『3次方程式の解と係数の関係』を使う】

が を解にもつとき、それと共役な 複素数 も解にもつ.

とおき、残りひとつの解をとすると3次方程式の解と係数の関係より

これを解くと、 となる。

他の解は、 。

最終更新: 2026-09-03

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