対称式

対称式の定義

次の6つの式

$1) x+y \ \ \ 2) xy \ \ \ 3) x^2+y^2$

$4) \dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y} \ \ \ 5) 2x^3+3y^2 \ \ \ 6) \dfrac{2}{x}+\dfrac{y}{2}$

において,各式の中の $x$ と $y$ を入れ換えてみると

$1)' x+y \ \ \ 2)' yx \ \ \ 3)' y^2+x^2$

$4)' \dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{x} \ \ \ 5)' 2y^3+3x^2 \ \ \ 6)' \dfrac{2}{y}+\dfrac{x}{2}$

となる.

ここで,式 $1)'~4)'$ はそれぞれ元の式 $1)~4)$ と恒等的に等しく, $5)'$ と $6)'$ はそれぞれ元の $5)$ , $6)$ と等しくない.

このように,文字を入れ換えても,式が変わるものと変わらないものとがあり, 変わらないものを対称式という.

対称式の定義

式の中の文字 $x, y$ を入れ換えても,同じ式となる式のことを, その文字に関する対称式(symmetric expression)という.

対称式の中でも特に

\[x+y\] \[xy\]

の2式を,基本対称式(elementary symmetric expression)という.

対称式の基本定理

証明は高校の程度を越えるが,一般に次のことが知られている.

対象式の基本定理

すべての対称式は,基本対称式の和,差,積,商の組合せで表すことができる.

対象式を基本対象式の組み合わせで表す

$x + y = A,xy = B$ とするとき,次の各式を $A,B$ を用いて表せ.

  1. $x^2+y^2$
  2. $x^3+y^3+x+y$
  3. $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}$
  4. $\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}$

  1. $ x^2+y^2$

    $=(x+y)^2-2xy$

    $=\boldsymbol{A^2-2B}$

  2. $x^3+y^3+x+y$

    $=(x+y)^3-3xy(x+y)+(x+y)$

           $\blacktriangleleft x^3 + y^3 = (x + y)^3 − 3xy(x + y)$ を利用した

      $=\boldsymbol{A^3-3AB+A}$

  3. $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}$

    $=\dfrac{y}{xy}+\dfrac{x}{xy}$

          $\blacktriangleleft$ 通分した

    $=\dfrac{x+y}{xy}$

    $=\boldsymbol{\dfrac{A}{B}}$

  4. $\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}$

    $=\dfrac{y^2}{xy}+\dfrac{x^2}{xy}$        $\blacktriangleleft$ 通分した

    $=\dfrac{x^2+y^2}{xy}$        $\blacktriangleleft$ (1)が使える形にした $=\boldsymbol{\dfrac{A^2-2B}{B}}$