条件と真理集合について

条件とは何か

例えば、ある数 $x$ を含む事柄 $p(x)$ を「$2x^2-7x+3$ の値は $0$ である」、つまり \[p(x):2x^2-7x+3=0\] としてみよう。

$x$ の値が決まらないと、$p(x)$ の真偽も決まらないので、$p(x)$ は命題ではない。しかし、例えば $x$ に $1$ を代入したもの、つまり $p(1)$ は \[p(1):「\underbrace{2\cdot1^2-7\cdot1+3}_{-2}=0である」\] となり偽と決まるので命題である。また、$x$ に $3$ を代入したもの、つまり $p(3)$ は \[p(3):「\underbrace{2\cdot3^2-7\cdot3+3}_{0}=0である」\] となり真と決まるので、これもやはり命題である。このように

変数・条件

$x$ の内容が決まれば命題となる事柄 $p(x)$ のことを、$x$ を変数 (variable)とする条件 (condition)という。

変数は1つとは限らず、複数ある場合もある。例えば \[p(x,y):「xはyより大きい数である」\] は、2つの変数 $x,y$ が確定して初めて命題となる。以下では、簡単のため、変数が1つの条件について説明していくが、変数がいくつかある条件でも基本的には同じである。

真理集合とは何か

条件を考える場合には、その条件がもつ変数のとりうる範囲を、全体集合(全体集合と補集合参照)としてあらかじめ決めておく必要がある。このもとで、次のような集合を定義する。

真理集合

$p(x)$ が真となるような $x$ の集合を $p(x)$ の真理集合 (truth set) という。

例えば、条件 $p(x)$ を、先程と同じ \[p(x):\lceil2x^2-7x+3=0\rfloor\] として、$p(x)$ の真理集合を求めてみる。

全体集合が実数全体の場合には、2次方程式を考えて \begin{align} &2x^2-7x+3=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-1)(x-3)=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1}{2},~3 \end{align} の2つが $p(x)$ を真とする $x$ の値である。つまり、条件 $p(x)$ の真理集合 $P$ は \[P=\left\{\dfrac{1}{2},~3\right\}\] となる。また、全体集合が自然数全体の場合には、$\dfrac{1}{2}$ は除外されるので、真理集合 $P$ は \[P=\left\{3\right\}\] となる。

条件と真理集合

条件を $p(x)$、全体集合を $U$ とするとき、真理集合 $P$ を求めよ。

  1. $U=\mathbb{N}\quad{p}(x)=\left\{x|-2\leqq{x}\leqq2\right\}$
  2. $U=\mathbb{Z}\quad{p}(x)=\left\{x|-2\leqq{x}\leqq2\right\}$
  3. $U=\mathbb{R}\quad{p}(x)=\left\{x|-2\leqq{x}\leqq2\right\}$
記号 $\mathbb{N}$、$\mathbb{Z}$、$\mathbb{R}$ については、集合の表し方参照。

  1. 自然数 $(\mathbb{N})$ のうち、条件 $p(x)$ を満たすものは $x=1,~2$ である。
    よって、$P=\boldsymbol{\left\{1,~2\right\}}$ となる。
  2. 整数 $(\mathbb{Z})$ のうち、条件 $p(x)$ を満たすものは $x=-2,~-1,~0,~1,~2$ である。
    よって、$P=\boldsymbol{\left\{-2,~-1,~0,~1,~2\right\}}$ となる。
  3. 実数 $(\mathbb{R})$ のうち、条件 $p(x)$ を満たすものは $-2\leqq{x}\leqq2$ を満たす実数 $x$ である。
    よって、$P=\boldsymbol{\left\{x|-2\leqq{x}\leqq2\right\}}$ となる。

吹き出し真理集合とは何か

たとえ同じ条件でも、全体集合の取り方によって、真理集合は変化することに注意しよう。