2次関数の対称移動

次に、2次関数のグラフの対称移動について考える。

2次関数グラフの対称移動〜その1〜

$f(x)=\dfrac{1}{2}x^2-x+\dfrac{3}{2}$ とし、放物線 $y=f(x)$ を $C$ とよぶ。

  1. $C$ を $x$ 軸に関して対称移動したグラフ $C_x$ の式を求めよ。
  2. $C$ を $y$ 軸に関して対称移動したグラフ $C_y$ の式を求めよ。
  3. $C$ を原点に関して対称移動したグラフ $C_{xy}$ の式を求めよ。

1,2,3のグラフ

1,2,3のグラフ

平方完成をすると、$f(x)=\dfrac{1}{2}(x-1)^2+1$ となるので、頂点の座標は $(1,~1)$ とわかる。

  1. 頂点が $(1,~-1)$ となり、上に凸なグラフになればよいので \begin{align} &y=-\dfrac{1}{2}(x-1)^2-1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=-\dfrac{1}{2}x^2+x-\dfrac{3}{2}} \end{align}
  2. 頂点が $(-1,~1)$ となればよいので \begin{align} &y=\dfrac{1}{2}(x+1)^2+1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=\dfrac{1}{2}x^2+x+\dfrac{3}{2}} \end{align}
  3. 頂点が $(-1,~-1)$ となり、上に凸なグラフになればよいので \begin{align} &y=-\dfrac{1}{2}(x+1)^2-1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=-\dfrac{1}{2}x^2-x-\dfrac{3}{2}} \end{align}

上の例題を別の見方でとらえてみよう。

$y=-\dfrac{1}{2}x^2+x-\dfrac{3}{2}$

$y=-\dfrac{1}{2}x^2+x-\dfrac{3}{2}$

たとえば、$C_x$ 上の各点 $P(x,~y)$ において、問題とは逆に $x$ 軸に関して対称移動した点 $Q(x,~-y)$ は $C$ 上の点だから \begin{align} &-y=\dfrac{1}{2}x^2-x+\dfrac{3}{2}\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=-\dfrac{1}{2}x^2+x-\dfrac{3}{2}} \end{align} として答えを求めることができる。

このようなやり方は、$y$ 軸に関する対称移動でも実行できる。上の例題の2と3で各自それを確かめてみよ。

放物線の対称移動

放物線 $y=ax^2+bx+c$ を $x$ 軸に関して対称移動した放物線の方程式は、$y$ を $-y$ におきかえた \begin{align} -y&=ax^2+bx+c\\ {\Leftrightarrow}y&=-ax^2-bx-c \end{align} また、$y$ 軸に関して対称移動した放物線の方程式は、$x$ を $-x$ におきかえた \begin{align} y&=a(-x)^2+b(-x)+c\\ {\Leftrightarrow}y&=ax^2-bx+c \end{align} また、原点に関して対称移動した放物線の方程式は、$y$ を $-y$ に、$x$ を $-x$ におきかえた \begin{align} -y&=a(-x)^2+b(-x)+c\\ {\Leftrightarrow}y&=-ax^2+bx-c \end{align} となる。

吹き出し無題

原点に関する対称移動は、上の例題の図からもわかるように、$x$ 軸に関する対象移動と $y$ 軸に関する対称移動をあわせたものとして理解できる。

2次関数グラフの対称移動〜その2〜

放物線 $y=x^2+4x-5$ を、次の直線または点に関して、それぞれ対称移動して得られる放物線の方程式を求めよ。

  1. $x$ 軸
  2. $y$ 軸
  3. 原点

  1. $y$ を $-y$ におきかえて \begin{align} -&y=x^2+4x-5\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=-x^2-4x+5} \end{align}
  2. $x$ を $-x$ におきかえて \begin{align} &y=(-x)^2+4(-x)-5\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=x^2-4x-5} \end{align}
  3. $x$ を $-x$ に、$y$ を $-y$ におきかえて \begin{align} -&y=(-x)^2+4(-x)-5\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=-x^2+4x+5} \end{align}

一般のグラフの平行移動と対称移動については、『グラフの移動について』を参照のこと。