数学B 第3章 数学的帰納法 — 数学的帰納法の原理

この節の前提数列とは何か

数学的帰納法の原理

ドミノ倒し

数学的帰納法を理解するために、ドミノ倒しの例を考える。

ドミノ倒しという遊びがある。ドミノを床に立ち並べ、並べ終えたら最初の1枚を倒す。すると、その勢いで後に続くドミノが次々と倒れていき、最終的には全てのドミノを倒すことができる。逆に、ドミノがうまく倒れず途中で止まってしまうこともある。

ドミノ倒しを成功させる要領はなんだろうか。それは

  1. 最初の1 枚をしっかりと立てる
  2. 2枚目以降のドミノを、直前の1枚が倒れた勢いで倒れるように立てる

ことである。この2点さえ確実に守れば、ドミノ倒しの規模をどんどん大きくすることができる。1個、2個、3個、 とドミノの数を増やしていけば、理論的には無限個のドミノ倒し(もちろん現実には不可能だが)も成功するはずである。

これから学ぶ数学的帰納法では、このドミノ倒しと同じ要領で数学の証明をおこなう。

すなわち、数学的帰納法は

  1. まず出発点となる命題を証明する
  2. 直前の命題が正しければ次の命題も正しいことを証明する

ことで、全ての場合において正しさを証明しよう、という手法である。

以下では、数式の例を用いて数学的帰納法を説明していく。

数学的帰納法の例

次の問題を考えてみよう。

問題1数学的帰納法の例

すべての自然数 において

を証明せよ

本当にこの が成立するかどうか、試しに を代入してみると

となり成立している。

次に、 の場合も

で成立している。

また、 の場合も

で確かに成立している。

しかし、 が の場合に成立したからといって、 が全ての自然数で成立するかはまだわからない。なぜなら、 以上の場合の成立についてはまだ確かめていないからである。

かといって、4以上の について1つずつ調べていったとしても、無限にある自然数を調べ尽くすことはできない。

ここで威力を発揮するのが数学的帰納法(mathematical induction)である。

ある自然数 の場合に が成り立つと仮定したとき、その次の自然数 の場合にも が成り立つ

ことを証明しよう。なお、この証明は次の節「基本的な数学的帰納法」でおこなう。

これさえ証明してしまえば、 の場合には が成り立つことがすでに証明されているので、その次の の場合も成り立つ。

は成立が示されたもの。●は成立がまだ示されていないものとして並べると、次のようになる。番号は の値であり、(前)はこの議論をする前、(後)はした後を表す。

(前)というラベルの横に、1の下が白丸、2から5の下が黒丸で並び、(後)の横には、1と2の下が白丸、3から5の下が黒丸で並んでいます。どちらも右側に点々が続いています。

また、 の場合が成り立つならば、同様にしてその次の の場合も成り立つ。

1から5までの番号がついた丸が並び、(前)では1と2が白丸、3から5が黒丸である。(後)では3の丸も白丸に変わり、1から3が白丸、4と5が黒丸になっている。

以降、冒頭のドミノ倒しの例のように、次々と が成り立つことが示される。この論法に終わりはないので、すべての自然数 に対して が成り立つと結論付けてよい。

最終更新: 2026-09-03

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