対数の導入
2x=8や2x=12となるxを求める
無題

2x=8や2x=12となるxを求める
たとえば,指数関数y=2xでy=8とすると
2x=8となるが,23=8であるから,この式を満たすx は3である.
また,y=12とすると
2x=12となるが,2−1=12であるから,この式を満たすxは −1である.
2x=5となるxを求める
2x=5となるxを求める
このように,yの値からすぐにxの値が求まることもあるが,たとえばy=5として
2x=5となるxの値は,下の例題でみるように無理数なので,小数や分数で表すことができない.
しかし,図からわかるように,2x=5となるxが存在しているのは確かなので,このxを
log25と表すことにする .
吹き出し2x=5となるxを求める
「3乗したら5になる値」は無理数なので,新たに記号を作り3√5と表した. 同じように「2x=5となるx の値」も無理数なので,新たに記号を作りlog25と表す.log という記号を何度か使ってみるまでは,少々違和感を感じるかもしれないが, 慣れの問題であると達観し,落ち着いて取り組もう.
log25が無理数であることの証明
log25が無理数であることを証明せよ.
【解答:背理法】
log25が有理数であると仮定する.log25は正の数なので,自然数m,nをもちいて log25=mn,すなわち
2mn=5と表せることになる.
しかし,両辺をn乗すると
2m=5nとなり,左辺は偶数,右辺は奇数となるので矛盾する.
よって,log25は無理数である.
対数の定義について
対数の定義について
ここで,対数の定義をしておこう.
指数関数の定義でみたように, 指数関数y=axのグラフでは,どのような正の実数Mに対しても
ax=Mとなるxの値がただ1つ定まる. この値を,aを底(base)とするMの対数(logarithm)といい
x=logaMで表す. また,このMのことをlogaMの真数(aniti-logarithm)という.
なお,指数関数の定義でのa>0,a≠1という条件は,対数でも同様とする.
対数の定義
a>0,a≠1,M>0のとき
ax=M ⟺ x=logaMとする.特に,logaax=xである.
たとえば,2を底とする8の対数,すなわちlog28は,23=8だから
log28=log223=3である.また,3を底とする19の対数,すなわちlog319は,3−2=19だから
log319=log33−2=−2である.
吹き出し対数の定義について
無題

指数と対数は,瞬時に書き換えられるようにしておかなければならない. 「a のx乗はM」と唱えながら,図のようなイメージ で変換できるように練習しよう.
指数を対数になおす
次の等式をx=logaMの形に書きなおせ.
- 34=81
- 10−2=0.01
- 16−14=0.5
- 「3の4乗は81である」は「4は3を底とする81の対数である」ということと同じ.
つまり
34=81 ⟺ 4=log381 ◂ 対数の定義 - 「10の − 2乗は0.01である」は「 − 2は10を底とする0.01の対数である」ということと同じ. つまり \begin{align} 10^{-2}=0.01~\Longleftrightarrow~\boldsymbol{-2=\log_{10}{0.01}} \end{align} \blacktriangleleft対数の定義
- 「16の-\dfrac{1}{4}乗は0.5である」は「-\dfrac{1}{4}は16を底とする0.5の対数である」ということと同じ. つまり \begin{align} 16^{-\frac{1}{4}}=0.5~\Longleftrightarrow~\boldsymbol{-\dfrac{1}{4}=\log_{16}{0.5}} \end{align} \blacktriangleleft対数の定義
対数を指数になおす
次の等式をa^x = Mの形に書きなおせ.
- 2=\log_{10}100
- \dfrac{1}{3}=\log_82
- -3=\log_5\dfrac{1}{125}
- 「2は10を底とする100の対数である」は「10の2乗は100である」ということと同じ.
つまり
\begin{align} 2=\log_{10}100~\Longleftrightarrow~\boldsymbol{10^2=100} \end{align} \blacktriangleleft対数の定義 - 「\dfrac{1}{3}は8を底とする2の対数である」は「8の\dfrac{1}{3}乗は2である」ということと同じ. つまり \begin{align} \dfrac{1}{3}=\log_82~\Longleftrightarrow~\boldsymbol{8^\dfrac{1}{3}=2} \end{align} \blacktriangleleft対数の定義
- 「 − 3は5を底とする\dfrac{1}{125}の対数である」は「5の − 3乗は\dfrac{1}{125}である」ということと同じ. つまり \begin{align} -3=\log_5\dfrac{1}{125}~\Longleftrightarrow~\boldsymbol{5^{-3}=\dfrac{1}{125}} \end{align} \blacktriangleleft対数の定義
定義から対数の値を求める
次の式の値を求めよ.
- \log_4{64}
- \log_{27}9
- \log_2\dfrac{1}{\sqrt{2}}
- \log_{\frac{1}{4}}\dfrac{1}{2}
- \log_464 = xとおくと
\begin{align}
&\log_4{64}=x\\
\Leftrightarrow~&4^x=64\\
\Leftrightarrow~&4^x=4^3
\end{align} \blacktriangleleft対数の定義
\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=3}
【別解】
対数の定義より\log_4{64}=\log_44^3=\boldsymbol{3}
- \log_279 = xとおくと \begin{align} &\log_{27}9=x\\ \Leftrightarrow~&27^x=9\\ \Leftrightarrow~&3^{3x}=3^2 \end{align} \blacktriangleleft対数の定義 \begin{align}\Leftrightarrow~&3x=2\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x=\dfrac{3}{2}} \end{align}
- \log_{2}\dfrac{1}{\sqrt{2}}=xとおくと
\begin{align}
&\log_{2}\dfrac{1}{\sqrt{2}}=x\\
\Leftrightarrow~&2^x=\dfrac{1}{\sqrt{2}}\\
\Leftrightarrow~&2^{x}=2^{-\dfrac{1}{2}}
\end{align} \blacktriangleleft対数の定義
\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=-\dfrac{1}{2}}
- \log_{\dfrac{1}{4}}\dfrac{1}{2}=xとおくと \begin{align} &\log_{\dfrac{1}{4}}\dfrac{1}{2}=x\\ \Leftrightarrow~&\left(\dfrac{1}{4}\right)^x=\dfrac{1}{2}\\ \Leftrightarrow~&\left(\dfrac{1}{2}\right)^{2x}=\dfrac{1}{2} \end{align} \blacktriangleleft対数の定義 \begin{align} \Leftrightarrow~&2x=1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x=\dfrac{1}{2}} \end{align}