資源配分の数
ボールと箱のモデル6
では,このボールと箱のモデルを使って
「区別しない5個のボールを,区別する3個の箱に最低1個は配る場合の総数」
を求めてみよう.
無題

準備として,ボールは区別しないので,それを ◯,◯,◯,◯,◯ とし, 箱は区別するので番号をつけ,それを
としておく.
次の図は,
に1個,
に2個 ,
に2個のボールを配った場合を表したものである. このような,ボールの配り方をすべて書き出すと

の6通りの場合があるのがわかる.
これを,計算で求めるには次のように考えるとよい.
無題

まず,区別しない5個のボールを並べて,ボールの間にある4つの“すきま”について考える.
この4つの“すきま”から2つ選んで,その2ヶ所に“しきり” ∣ を入れ,5個のボールを3つの 部分に分ける.
こうしておいてから,この3つの部分の左,真中,右にあるボールの個数をそれぞれ3つの箱,
に入れるボールの個数に対応させる.
このように考えると,結局
「区別しない5個のボールを,区別する3個の箱に最低1個は配る場合の総数」
は,4つの“すきま”から2つの“すきま”の選び方の総数となり,組合せで計算することができる. つまり, 4C2=4⋅32⋅1=6 通りと計算できる.
資源配分の数 resource(n,r) の定義
「区別しないn個のボールを,区別するr個の箱に最低1個は配る場合の数」を, FTEXT では \boldsymbol{\textbf{resource}(n,r)} と表す.
この例では
\begin{align} \text{resource}(5,~3)=\ _{4}\mathrm{C}_{2}=6 \end{align}である.
資源配分の数resource(n,r)の計算
区別しない n 個のボールを,区別する r 個の箱に最低1個は配る場合の総数 \text{resource}(n,r) も,先程の例と同じように考えることができる.
無題

まず,区別しない n 個のボールを並べて,ボールの間にある n−1 個の“すきま”について考える.
この n−1 個の“すきま”から r−1 個選んで,その r−1 ヶ所に“しきり” \mid を入れ, n 個のボールを r 個の部分に分ける.
こうしておいてから,この r 個の部分を左から順に, r 個の箱,
に入れるボールの個数に対応させる.
n−1 個の“すきま”から選んだ r−1 個の 場所に“しきり”を入れることにより,下の図のようになる

このように考えると,結局
「区別しない n 個のボールを,区別する r 個の箱に最低1個は配る場合の数」
は, n−1 個の“すきま”から r−1 個の“すきま”の選び方の総数となり,組合せで計算することができ
\begin{align} \text{resource}(n,~r)=\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1} \end{align}となる.
まとめておこう.
資源配分の数 \text{resource}(n,r) の計算
資源配分の数 \text{resource}(n,r) は
\begin{align} \text{resource}(n,r)=\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1} \end{align}と計算できる.
資源配分の計算練習
次の値を求めよ.
- \text{resource}(5,2)
- \text{resource}(7,6)
- \text{resource}(10,4)
- \text{resource}(20,18)
- \text{resource}(5,2)=\ _{4}\mathrm{C}_{1}=\boldsymbol{4}
- \text{resource}(7,6)=\ _{6}\mathrm{C}_{5}=\ _{6}\mathrm{C}_{1}=\boldsymbol{6}
- \text{resource}(10,4)=\ _{9}\mathrm{C}_{3}=\dfrac{9\cdot 8\cdot 7}{3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{84}
- \begin{align} \text{resource}(20,18)=&\ _{19}\mathrm{C}_{17}=\ _{19}\mathrm{C}_{2}\\ =&\ \dfrac{19\cdot 18}{2\cdot 1}=\boldsymbol{171} \end{align}
資源配分〜その1〜
8個の区別しないアメを3人の子供に分けるとき,次の問に答えよ.
- 子供は皆最低1個はアメをもらう場合,何通り分け方があるか.
- 1個もアメをもらえない子供がいてもよい場合,何通りの分け方があるか.
- 8個のアメを8個の白丸
- (こちらは重複組合わせになる)
\uparrow 重複組合せ _{n}\mathrm{H}_{r} のボールと箱のモデル参照
_{3}\mathrm{H}_{8}=\boldsymbol{45} 通り
\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc
であらわし,これによってできる7ヶ所の“すきま”から2ヶ所選んで“しきり”を入れ,3つの部分に分け, 左にある \bigcirc の数を1番目の子供に与えるアメの数, 中央にある \bigcirc の数を2番目の子供に与えるアメの数, 右にある \bigcirc の数を3番目の子供に与えるアメの数 とすればよい.
\uparrow 例えば \bigcirc\mid\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\mid\bigcirc\bigcirc\bigcirc では,アメを子供にそれぞれ1個,4個,3個与えることに対応する
よって
\text{resource}(8,3)=\ _{7}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{7\cdot 6}{2\cdot 1}=\boldsymbol{21} 通り
資源配分〜その2〜
- x+y+z+w=15 を満たす自然数の組 (x,y,z,w) の数を求めよ.
- x+y+z+w=15 を満たす0以上の整数の組 (x,y,z,w) の数を求めよ.
- 15という数を15個の白丸
- (こちらは重複組合せになる)
\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc
\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc
であらわし,これによってできる14ヶ所の“すきま”から3ヶ所選んで“しきり”を入れ,4つの部分に分け, 一番左にある \bigcirc の数を x の値, 左から2番目にある \bigcirc の数を y の値, 右から2番目にある \bigcirc の数を z の値, 一番右にある \bigcirc の数を w の値 とすればよい.
\uparrow 例えば \bigcirc\bigcirc\bigcirc\mid\bigcirc\mid\bigcirc\bigcirc
\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\bigcirc\mid\bigcirc\bigcirc では, (x,y,z,w)=(3,1,9,2) 対応する
よって
\begin{align} \text{resource}(15,4)=&\ _{14}\mathrm{C}_{3}=\frac{14\cdot13\cdot12}{3\cdot2\cdot 1}\\ =&\boldsymbol{364} 通り \end{align}
\uparrow 重複組合せ _{n}\mathrm{H}_{r} のボールと箱のモデル参照
_{4}\mathrm{H}_{15}=\ _{4+15-1}\mathrm{C}_{15}=\ _{18}\mathrm{C}_{3}=\boldsymbol{816} 通り
資源配分と重複組合せ
\text{resource}(n,r) と _{r}\mathrm{H}_{n-r} は等しいことを説明せよ.
\text{resource}(n,r) の定義は,「区別しない n 個のボールを,区別する r 個の箱に最低1個は配る場合の数」である.
\uparrow 資料配分の数 \text{resource (n,r)} の定義
また, _{r}\mathrm{H}_{n-r} はボールと箱のモデルでは,「区別しない n−r 個のボールを,区別する r 個の箱に配る(何個でもよい)場合の数」である.
\uparrow 重複組合せ _{n}\mathrm{H}_{r} のボールと箱のモデル
\text{resource}(n,r) について考える. この「最低1個は配る」について,はじめに r 個の箱に1個ずつボールを配っておき, その後残った n−r 個のボールを r 個の箱に配る(何個でもよい)と考えてもよく, これは, _{r}\mathrm{H}_{n-r} と一致する.