$36^\circ$、$72^\circ$などの三角比

$36^\circ$、$72^\circ$、$72^\circ$の三角形を考える

$36^\circ$、$72^\circ$、$72^\circ$ の三角形

$36^\circ$、$72^\circ$、$72^\circ$ の三角形

$18^\circ$ に関する三角比を考えるため、まず、右図のように、$\angle{A}=\angle{B}=72^\circ$ の2等辺三角形 $\text{ABC}$ を考える。$\text{AB}$ の長さはいくつでもよいが、考えやすくするためここでは $1$ としておく。

ここで、右図の奥のように $\angle{A}$ の2等分線と辺 $\text{BC}$ の交点を $\text{D}$ とすると、 \[\angle\text{DAC}=\angle\text{DCA}=36^\circ\] だから $\triangle\text{DAC}$ は2等辺三角形になり、 \[\angle\text{ADB}=\angle\text{ABD}=72^\circ\] だから $\triangle\text{ABD}$ も2等辺三角形になる。これらより、$\text{CD}=\text{AD}=\text{AB}=1$ が成り立つ。

さらに、$\text{BD}=x$ とおくと、$\triangle\text{CAB}\sim\triangle\text{ABD}$ であるから、$\text{CB}:\text{AB}=\text{AB}:\text{BD}$ が成り立ち、$\text{AB}^2=\text{CB}\times\text{BD}$ より \[1\times1=(1+x)\times{x}~\Leftrightarrow~x^2+x-1=0\] $x\gt0$ であるから、解の公式より $\text{BD}=\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}$ と求まる。これより \[\text{BC}=\text{BD}+1=\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}+1=\dfrac{\sqrt{5}+1}{2}\] となる。

$36^\circ$の三角比とその周辺

$36^\circ$ の三角比

$36^\circ$ の三角比

$\triangle\text{ACD}$ に注目し、右図のように、点 $\text{D}$ から辺 $\text{AC}$ へ垂線 $\text{DH}$ を引く。

直角三角形 $\text{DCH}$ に、余弦の定義を用いて \begin{align} \cos{36^\circ}=&\dfrac{\text{CH}}{\text{DC}}\\ =&\dfrac{\dfrac{1}{2}\text{CA}}{1}=\dfrac{\sqrt{5}+1}{4} \end{align} さらに、三角比の相互関係 $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ を用いて \begin{align} \sin^2{36^\circ}=&1-\cos^2{36^\circ}\\ =&1-\left(\dfrac{\sqrt{5}+1}{4}\right)^2\\ =&1-\dfrac{6+2\sqrt{5}}{16}\\ =&\dfrac{10-2\sqrt{5}}{16} \end{align} であり、$\sin36^\circ\gt0$ であるから、$\sin36^\circ=\dfrac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}$ である。

また、これらより \begin{align} \tan{36^\circ}=&\dfrac{\sin36^\circ}{\cos36^\circ}\\ =&\dfrac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{1+\sqrt{5}}\\ =&(計算省略)\\ =&\sqrt{5-2\sqrt{5}} \end{align} である。

$36^\circ$ とその周辺の三角比

$\sin36^\circ=\dfrac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}$、$\cos36^\circ=\dfrac{\sqrt{5}+1}{4}$、$\tan36^\circ=\sqrt{5-2\sqrt{5}}$ を利用して次の三角比の値を求めよ。

  1. $\sin54^\circ$、$\cos54^\circ$、$\tan54^\circ$
  2. $\sin126^\circ$、$\cos126^\circ$、$\tan126^\circ$
  3. $\sin144^\circ$、$\cos144^\circ$、$\tan144^\circ$

  1. $54^\circ=90^\circ-36^\circ$ であるから、『$90^\circ-A$ の三角比』より次のように求めることができる。
    1の図
    \begin{align} \sin54^\circ =&\cos36^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{5}+1}{4}}\\ \cos54^\circ =&\sin36v=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}}\\ \tan54^\circ =&\dfrac{1}{\tan36^\circ}=\boldsymbol{\dfrac{1}{\sqrt{5-2\sqrt{5}}}} \end{align}
  2. $126^\circ=90^\circ+36^\circ$ であるから、『$90^\circ+\theta$ の三角比』より次のように求めることができる。
    2の図
    \begin{align} \sin126^\circ=&\cos36^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{5}+1}{4}}\\ \cos126^\circ=&-\sin36^\circ=\boldsymbol{-\dfrac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}}\\ \tan126^\circ=&-\dfrac{1}{\tan36^\circ}=\boldsymbol{-\dfrac{1}{\sqrt{5-2\sqrt{5}}}} \end{align}
  3. $144^\circ=180^\circ-36^\circ$ であるから、『$180^\circ-\theta$ の三角比』より次のように求めることができる。
    3の図
    \begin{align} \sin144^\circ=&\sin36^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}}\\ \cos144^\circ=&-\cos36^\circ=\boldsymbol{-\dfrac{\sqrt{5}+1}{4}}\\ \tan144^\circ=&-\tan36^\circ=\boldsymbol{-\sqrt{5-2\sqrt{5}}} \end{align}

$72^\circ$の三角比とその周辺

$72^\circ$ の三角比

$72^\circ$ の三角比

今度は、$\triangle\text{ABD}$ に着目し、右図のように、点 $\text{A}$ から辺 $\text{BD}$ へ垂線 $\text{AH'}$ を引く。

直角三角形 $\text{ABH'}$ に、余弦の定義を用いて \begin{align} \cos{72^\circ}=&\dfrac{\text{BH'}}{\text{AB}}\\ =&\dfrac{\dfrac{1}{2}\text{BD}}{1}=\dfrac{\sqrt{5}-1}{4} \end{align} さらに、三角比の相互関係 $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ を用いて \begin{align} \sin^2{72^\circ}=&1-\cos^2{72^\circ}\\ =&1-\left(\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}\right)^2\\ =&1-\dfrac{6-2\sqrt{5}}{16}\\ =&\dfrac{10+2\sqrt{5}}{16} \end{align} であり、$\sin72^\circ\gt0$ であるから、$\sin72^\circ=\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}$ である。

また、これらより \begin{align} \tan{72^\circ}=&\dfrac{\sin72^\circ}{\cos72^\circ}\\ =&\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{\sqrt{5}-1}\\ =&(計算省略)\\ =&\sqrt{5+2\sqrt{5}} \end{align} である。

$72^\circ$ とその周辺の三角比

$\sin72^\circ=\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}$、$\cos72^\circ=\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}$、$\tan72^\circ=\sqrt{5+2\sqrt{5}}$ を利用して次の三角比を求めよ。

  1. $\sin18^\circ$、$\cos18^\circ$、$\tan18^\circ$
  2. $\sin108^\circ$、$\cos108^\circ$、$\tan108^\circ$
  3. $\sin162^\circ$、$\cos162^\circ$、$\tan162^\circ$

  1. $18^\circ=90^\circ-72^\circ$ であるから、『$90^\circ-A$ の三角比』より次のように求めることができる。
    1の図
    \begin{align} \sin18^\circ =&\cos72^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}}\\ \cos18^\circ =&\sin72^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}}\\ \tan18^\circ =&\dfrac{1}{\tan72^\circ}=\boldsymbol{\dfrac{1}{\sqrt{5+2\sqrt{5}}}} \end{align}
  2. $108^\circ=180^\circ-72^\circ$ であるから、『$180^\circ-\theta$ の三角比』より次のように求めることができる。
    2の図
    \begin{align} \sin108^\circ=&\sin72^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}}\\ \cos108^\circ=&-\cos72^\circ=\boldsymbol{-\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}}\\ \tan108^\circ=&-\tan72^\circ=\boldsymbol{-\sqrt{5+2\sqrt{5}}} \end{align}
  3. $162^\circ=90^\circ+72^\circ$ であるから、『$90^\circ+\theta$ の三角比』より次のように求めることができる。
    3の図
    \begin{align} \sin162^\circ=&\cos72^\circ=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}}\\ \cos162^\circ=&-\sin72^\circ=\boldsymbol{-\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}}\\ \tan162^\circ=&-\dfrac{1}{\tan72^\circ}=\boldsymbol{-\dfrac{1}{\sqrt{5+2\sqrt{5}}}} \end{align}