開平法について

開平法の手順

例として、$\sqrt{823.69}$ の値を開平法で計算する。

  1. $823.69$ を根号の中に書き、「小数点を基準」にして「2桁ずつ」区切っていく。また、横にスペースをとっておく。
  2. 2の数式
    一番左の数は $8$。2乗して $8$ を超えない最大の数 $2$ を、右図のように3ヶ所に書く。
  3. 3の数式
    $(2\times2=)2^2=4$ を $8$ の下に書き、$8$ から $4$ を引く。そして、$23$ を下に下ろす。
    また、その横で $2+2=4$ を計算する。
  4. 4の数式
    「$4\fbox{?}$」に「$\fbox{?}$」を掛けて「$423$」を超えない、最大の1桁の整数 $\fbox{?}$ を求める。 \[48\times8=384\leqq423\lt49\times9=441\] であるので、$\fbox{?}$ は $8$。これを3ヶ所に書き込む。
  5. 5の数式
    $48\times8$ の結果 $384$ を $423$ の下に書き、$423$ から引く。そして、$69$ を下に下ろす。さらに、小数点を打つ。
    また、$48+8$ を横で計算しておく。
  6. 6の数式
    「$56\fbox{?}$」に「$\fbox{?}$」を掛けて「$3969$」を超えない、最大の1桁の整数 $\fbox{?}$ を求める。 \[567\times7=3969\leqq3969\lt568\times8\] より $\fbox{?}$ は $7$ であり、$3969-567\times7=0$ なので計算は完了。$\sqrt{823.69}=28.7$ とわかる。
(いつまでも $0$ が現れないときは、計算を繰り返すことでより精密な近似値を求めることができる。)

開平法とは

(注)

「開平」とは「ある数の平方根を求めること」であり、「開平法 (extraction of square root)」とは、その「開平」を筆算のような計算で求める方法である。いずれも和算の時代から使われた用語であり、開平法は古くからそろばんによって用いられていた。

開平法の計算は、化学や物理において必要とされることがある。

開平法の仕組み

なぜ、前ページの開平法によって平方根が求められるのか、その仕組みを下に図で示しておく(途中の計算式の中に、実際の計算のときには必要のない数字があるので注意すること)。余裕のある人は、各自で考えてみよう。

開平法の仕組み1

開平法の仕組み1

開平法の仕組み2

開平法の仕組み2

開平法の仕組み3

開平法の仕組み3

開平法の仕組み4

開平法の仕組み4

開平法

$\sqrt{153664}$、$\sqrt{1.1236}$、$\sqrt{13}$、$\sqrt{9.8}$ の値を開平法によって計算せよ(無限に続く場合は、四捨五入によって上から3桁まで計算せよ)。

  • 開平法によって、下のように計算できて $\sqrt{153664}=\boldsymbol{392}$

    計算式
  • 開平法によって、下のように計算できて $\sqrt{1.1236}=\boldsymbol{1.06}$

    計算式

    $\blacktriangle$ 下のように、$0$ を引く部分を省略しても構わない。ただし、補助の計算から $0$ を省略してはいけない。

    計算式
  • 開平法によって、下のように計算できて \begin{align} \sqrt{13}&=3.605\cdots\\ &=\boldsymbol{3.61} \end{align}

    計算式

    $\blacktriangle$ 下のように、$0$ を引く部分を省略しても構わない。ただし、補助の計算から $0$ を省略してはいけない。

    計算式
  • 開平法によって、下のように計算できて \begin{align} \sqrt{9.8}&=3.130\cdots\\ &=\boldsymbol{3.13} \end{align}

    計算式

    $\blacktriangle$ $9.8$ とは、物理で重要となる「重力加速度 $(\text{m}/\text{s}^2)$」の近似値である。余談になるが、この答えは $\pi$ に近い値である。

吹き出し開平法の仕組み

電卓で値を確かめながら、いろいろな値で練習しよう。