階差数列

階差数列の定義

階差数列とは何か

下の数列の第 $n$ 項をいきなり求めるのは,少し難しい.

このように一般項がすぐに把握できない場合は,隣り合った項の差をとって,新たな数列をつくってみるとうまくいくことがある.まず新しく作られる数列について確認しよう.

隣り合った項の差に注目すると,たとえば $X$ は12と予想できるので,第6項は $30+12=42$ と求めることができる.

階差数列の定義

数列 $\{a_n\}$ に対して

\[b_n=a_{n+1}-a_n\]

となる数列 $\{b_n\}$ を,数列 $\{a_n\}$ の階差数列 (progression of differences) という.

この例では,階差数列 $\{b_n\}$ は,初項4,公差2の等差数列になっているので

\[b_n=4+(n-1)\times2=2n+2\]

と表せる.

階差数列の定義

数列 $1,2,6,13,23,36$ の階差数列を書け.

階差数列 $\{b_n\}$ は

\begin{align} b_1&=a_2-a_1=2-1=1\\ b_2&=a_3-a_2=6-2=4\\ b_3&=a_4-a_3=13-6=7\\ b_4&=a_5-a_4=23-13=10\\ b_5&=a_6-a_5=36-23=13 \end{align}

よって,階差数列は $\{1,4,7,10,13\}$ で与えられる.

階差数列から一般項を求める

階差数列の一般項

(無題)

次に,本題であった数列 $\{a_n\}$ を求めよう.

階差数列の一般項 $b_n$ がわかった場合,そこから $a_n$ を以下のようにして求めることができる.

上の数列から

であるから, $a_n$ は「 $a_1$ に $b_1$ から $b_{n-1}$ までの $n-1$ 項を加えたもの」とわかる.よって, $n\geqq2$ のとき第 $n$ 項は

として求めることができる.

以上,まとめておこう.

階差数列 $\{b_n\}$ から一般項 $a_n$ を求める

数列 $\{a_n\}$ の階差数列を $\{b_n\}$ とおくと, $n\geqq2$ のとき一般項 $a_n$ は

\[a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\]

と求めることができる.

階差数列 $\{b_n\}$ から一般項 $a_n$ を求める

次の数列の一般項 $a_n$ を求めよ.

\[1,2,5,10,17,26,\cdots\]

階差数列 $\{b_n\}=1,3,5,7,9,\cdots$ より

\[b_n=2n-1\]

よって $n\geqq2$ において

\begin{align} a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\ &=1+\sum_{k=1}^{n-1}(2k-1)\\ &=1+2\cdot\frac{1}{2}(n-1)n-(n-1)\\ &=n^2-2n+2 \end{align}

$n=1$ を代入したとき $1^2-2\cdot1+2=1$ となり, $a_1$ と等しくなるので, $n\geqq1$ において $a_n=\boldsymbol{n^2-2n+2}$ と表せる.