数直線と座標平面上の点
この章では座標をもちいて直線や円の性質について学んでいく。まずは準備として、数直線や座標平面上の点について考えていく。
数直線上の点
数直線上の2点間の距離
数直線上の2点間の距離
まずは,数直線上の点に関する知識から確認していこう.
\FTEXT 数学Iでも学んだように,数直線上の2点間の距離は次のようになる.
数直線上の2点間の距離
無題

数直線上の2点A(x1),B(x2)間の距離ABは
AB=|x2−x1|
である.
内分・外分とは何か
内分・外分とは何か
線分の分割を表すのに,内分と外分という2つの方法がある.
内分
無題

正の数m,nとする. 線分AB上の点Pについて
AP:PB=m:n
が成り立つとき,点Pは線分ABをm:nに
内分(interior devision)
するといい, 点Pのことを内分点という.
外分
無題

無題

正の数m,nとする. 線分ABの延長上の点Qについて
AQ:QB=m:n
が成り立つとき,点Qは線分ABをm:nに
外分(exterior devision)
するといい, 点Qのことを外分点という.
右図のように,点Qは
m>nのときは,線分ABのBの方向への延長上
m<nのときは,線分ABのAの方向への延長上
にある.
数直線上の内分点の座標
数直線上の2点A(x1),B(x2)に対して,線分ABをm:nに内分する点Pの座標(x)を求めてみよう.
AP:PB=m:n だから
nAP=mPB
ここで,右図より

1)x1<x2のとき,x1<x<x2だから
AP=x−x1,PB=x2–x
2)x1>x2のとき,x1>x>x2だから
AP=x1−x,PB=x−x2
1),2)のいずれにせよ,(1)は

n(x−x1)=m(x2−x),
⇔ (m+n)x=nx1+mx2
∴
となる.
数直線上の内分点
数直線上の2点A(x_1),B(x_2)に対し,線分ABをm : n に内分する点Pの座標(x)は
x=\dfrac{n x_1 + mx_2}{m+n}
である.
吹き出し数直線上の内分点の座標
無題

分子のnx_1 + mx_2は,右図のように座標と比を交差して掛けたものを足し合わせたもの,と覚えるとよい.
特に,Pが中点のとき,m = nより,x=\dfrac{x_1+x_2}{2}である.
数直線上の外分点の座標
数直線上の外分点の座標
暗記数直線上の外分点
数直線上の内分点を参考に, 数直線上の2点A(x_1),B(x_2)に対し,線分ABをm : n に外分する点Qの座標(x)は
x=\dfrac{-n x_1+mx_2}{m-n}
であることを示せ.ただし,x_1 < x_2とする.
AQ:QB = m : n だから
nAQ = mQB \tag{1}\label{suuchokusenjounogaibunten}
ここで,右図より

1)m > nのとき,x_1 < x_1 < xだから
AQ = x − x_1,QB = x − x_2
2)m < nのとき,x > x_1 > x_2だから
AQ=x_1 − x,QB=x_2 – x

1),2)のいずれにせよ,\eqref{suuchokusenjounogaibunten}は
n(x-x_1)=m(x-x_2),
\Leftrightarrow~(m-n)x=-nx_1+mx_2
\therefore~x=\dfrac{-nx_1 + mx_2}{m-n}
である.
上の例題はx_1 > x_2の場合でも同様の結論になるので,次のようにまとめられる.
数直線上の外分点
数直線上の2点A(x_1),B(x_2)に対し,線分ABをm : nに外分する点Qの座標(x)は
x=\dfrac{-n x_1+mx_2}{m-n}
である.
吹き出し数直線上の外分点の座標
\dfrac{-n x_1+mx_2}{m-n}は,分母分子に − 1を掛けることにより,\dfrac{n x_1-mx_2}{-m+n}と表すこともできるので, 外分点の公式は,m,n のうちどちらかにマイナスをつけて
内分点の
公式に代入すると覚えるとよい.
座標平面上の点
座標平面上の2点間の距離
無題

座標平面上の2点A(x_1,~y_1),B(x_2,~y_2)間の距離ABについて考えよう.
右図のように点Cをとると
AC= | x_2 − x_1 | , BC= | y_2 − y_1 |
なので,三平方の定理より
\begin{align} {AB}^2&={AC}^2+{BC}^2\\ &=(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2 \end{align}なので,AB=\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}となる.
座標平面上の2点間の距離
座標平面上の2点A(x_1,y_1),B(x_2,y_2)間の距離は
AB=\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}
である.
2点間の距離
2点A,~Bが次の座標にあるとき,2点A,~Bの間の距離を求めよ.
- A(1, 3),B(5, 6)
- A( − 3, − 5),B(2, 3)
- A(6, − 1),B( − 2, 4)
- AB=\sqrt{(5-1)^2+(6-3)^2}=\boldsymbol{5}
- AB=\sqrt{\{2-(-3)\}^2+\{3-(-5)\}^2}
\qquad=\boldsymbol{\sqrt{89}} - AB=\sqrt{(-2-6)^2+\{4-(-1)\}^2}
\qquad=\boldsymbol{\sqrt{89}}
中線定理の証明
\vartriangle ABCにおいて,辺BCの中点をMとする.このとき
\text{AB}^2 + \text{AC}^2 =2(\text{AM}^2 + \text{MB}^2)
であることを,座標平面を用いて示せ.
点A,B,C,Mを右図のように座標平面上でA(a_1,~a_2),B(-c,~0),C(c,~0),M(0,~0)とおいても一般性を失わない. 座標平面状の2点間の距離を考えて
\begin{align} &\text{AB}^2+\text{AC}^2\\ =&\left(\sqrt{(a_1+c)^2+{a_2}^2}\right)^2\\ &+\left(\sqrt{(a_1-c)^2+{a_2}^2}\right)^2\\ =&{a_1}^2+2{a_1}c+c^2+{a_2}^2\\ &+{a_1}^2-2{a_1}c+c^2+{a_2}^2\\ =&2({a_1}^2+{a_2}^2+c^2) \end{align}同様に
\begin{align} &2(\text{AM}^2 + \text{MB}^2)\\ =&2\left\{\left(\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}\right)^2+\left(\sqrt{c^2}\right)^2\right\}\\ =&2({a_1}^2+{a_2}^2+c^2) \end{align}よって,\text{AB}^2+\text{AC}^2=2(\text{AM}^2 + \text{MB}^2)が成り立つ.
この例題のように,座標を用いて幾何(図形) の証明問題を解くこともできる. このようなアプローチの幾何学を 座標幾何学(coordinate geometry)という
座標平面上の内分点の座標
無題

2点A(x_1, y _1),B(x_2, y_ 2)に対して,線分ABをm : nに内分する点Pの座標(x, y)を求めてみよう.
右図のようにP'は線分A'B'をm : nに内分する点なので
x=\dfrac{nx_1 + mx_2}{m+n}
であり,y座標の方も同様にして
y=\dfrac{ny_1 + my_2}{m+n}
である.
座標平面上の内分点
座標平面上の2点A(x_1, y _1),B(x_2, y_ 2)に対し,線分ABをm : n に内分する点Pの座標(x, y)は
x=\dfrac{n x_1 + mx_2}{m+n}~~,~~~y=\dfrac{n y_1 + my_2}{m+n}
である.
特に,Pが中点のとき,m = nより,x=\dfrac{x_1 +x_2}{2},y=\dfrac{y_1 +y_2}{2}である.
座標平面上の内分点
以下の点A, Bについて,それぞれ,線分ABを3:1に内分する点P,線分ABを2:3に内分する点Q, 線分ABの中点Mの座標を求めよ.
- A(2, 5),B(3, 2)
- A( − 2, 3),B(3, − 1)
- A(0, 0),B(3, − 4)
Pの座標は\left(\dfrac{1\cdot2+3\cdot3}{3+1},~\dfrac{1\cdot5+3\cdot2}{3+1}\right)
Qの座標は\left(\dfrac{3\cdot2+2\cdot3}{2+3},~\dfrac{3\cdot5+2\cdot2}{2+3}\right)
Mの座標は\left(\dfrac{2+3}{2},~\dfrac{5+2}{2}\right)なので
\boldsymbol{\text{P}\left(\dfrac{11}{4},~\dfrac{11}{4}\right)}
\boldsymbol{\text{Q}\left(\dfrac{12}{5},~\dfrac{19}{5}\right)}
\boldsymbol{\text{M}\left(\dfrac{5}{2},~\dfrac{7}{2}\right)}
Pの座標は\left(\dfrac{1\cdot(-2)+3\cdot3}{3+1},~\dfrac{1\cdot3+3\cdot(-1)}{3+1}\right)
Qの座標は\left(\dfrac{3\cdot(-2)+2\cdot3}{2+3},~\dfrac{3\cdot3+2\cdot(-1)}{2+3}\right)
Mの座標は\left(\dfrac{-2+3}{2},~\dfrac{3+(-1)}{2}\right)なので
\boldsymbol{\text{P}\left(\dfrac{7}{4},~0\right)}
\boldsymbol{\text{Q}\left(0,~\dfrac{7}{5}\right)}
\boldsymbol{\text{M}\left(\dfrac{1}{2},~1\right)}
\boldsymbol{\text{P}\left(\dfrac{9}{4},~-3\right)}
\boldsymbol{\text{Q}\left(\dfrac{6}{5},~-\dfrac{8}{5}\right)}
\boldsymbol{\text{M}\left(\dfrac{3}{2},~-2\right)}
\blacktriangleleft P\left(\dfrac{1\cdot0+3\cdot3}{3+1},~\dfrac{1\cdot0+3\cdot(-4)}{3+1}\right)
Q\left(\dfrac{3\cdot0+2\cdot3}{2+3},~\dfrac{3\cdot0+2\cdot(-4)}{2+3}\right)
M\left(\dfrac{0+3}{2},~\dfrac{0+(-4)}{2}\right)
座標平面上の外分点の座標
暗記座標表面上の外分点
座標平面上の内分点を参考に 座標平面上の2点A(x_1,y_1),B(x_2,y_2)に対し,線分ABをm : n に外分する点Qの座標(x,y)は
x=\dfrac{-n x_1 + mx_2}{m-n},~y=\dfrac{-n y_1 + my_2}{m-n}
であることを示せ.
無題

右図のようにP'は線分A'B'をm :n に外分する点なので
x=\dfrac{-nx_1 + mx_2}{m-n}
であり,y 座標の方も同様にして
y=\dfrac{-ny_1 + my_2}{m-n}
である.
座標平面上の外分点
座標平面上の2点A(x_1,y_1),B(x_2,y_2)に対し,線分ABをm : n に外分する点Qの座標(x,y)は
x=\dfrac{-n x_1 + mx_2}{m-n}~~,~y=\dfrac{-n y_1 + my_2}{m-n}
である.
座標表面上の外分点
以下の点A, Bについて,それぞれ,線分ABを3:1に外分する点P,2:3に外分する点Q, 4:3に外分する点Rの座標を求めよ.
- A(2, 5),B(3, 2)
- A( − 2, 3),B(3, − 1)
点Pは線分ABを3:( − 1)に内分した点 \blacktriangleleft 1の方が小さいので1を( − 1)倍
点Qは線分ABを( − 2):3に内分した 点\blacktriangleleft 2の方が小さいので2を( − 1)倍
点Rは線分ABを4:( − 3)に内分した 点\blacktriangleleft 3の方が小さいので3を( − 1)倍
と考えて,公式に当てはめればよい.
Pの座標は\left(\dfrac{(-1)\cdot2+3\cdot3}{3+(-1)},~\dfrac{(-1)\cdot5+3\cdot 2}{3+(-1)}\right)
\blacktriangleleft次のような図を書いてみよう.Qの座標は \left(\dfrac{3\cdot2+(-2)\cdot3}{(-2)+3},~\dfrac{3\cdot5+(-2)\cdot 2}{(-2)+3}\right)
Rの座標は \left(\dfrac{(-3)\cdot2+4\cdot 3}{4+(-3)},~\dfrac{(-3)\cdot 5+4\cdot 2}{4+(-3)}\right)
なので P\,\boldsymbol{\left(\dfrac{7}{2},~\dfrac12\right)}, Q\,\boldsymbol{\left(0,~11\right)}, R\,\boldsymbol{\left(6,-7\right)}
P\,\boldsymbol{\left(\dfrac{11}{2},-3\right)},
Q\,\boldsymbol{\left(-12,~11\right)},
R\,\boldsymbol{\left(18,-13\right)}\blacktriangleleft P\left(\dfrac{(-1)\cdot(-2)+3\cdot3}{3+(-1)}\right. ,
\qquad\left.\dfrac{(-1)\cdot3+3\cdot(-1)}{3+(-1)}\right)Q\left(\dfrac{3\cdot(-2)+(-2)\cdot3}{(-2)+3}\right. ,
\qquad\left.\dfrac{3\cdot3+(-2)\cdot(-1)}{(-2)+3}\right)R\left(\dfrac{(-3)\cdot(-2)+4\cdot 3}{4+(-3)}\right. ,
\qquad\left.\dfrac{(-3)\cdot 3+4\cdot(-1)}{4+(-3)}\right)
三角形の重心
無題

どんな三角形でも,各頂点から引いた3本の中線は1点で交わる. この点を三角形の重心(centroid, center of gravity)という. 図に示したように,重心は三角形の中線を2:1に内分する.
以下では,座標平面上のにある三角形の重心の座標を求めてみよう.
暗記平面図形と座標
座標平面上にA(x_1, y_1),B(x_2,y_2),C(x _3, y_3)があり,Gを\vartriangle ABCの重心とする.
線分BCの中点をNとする.Nの座標を求めなさい.
Gが線分ANを2:1に内分する点であることを用い,Gの座標を求めなさい.
NはBCの中点なので,\boldsymbol{\left(\dfrac{x_2 +x_3}{2},~\dfrac{y_2 +y_3}{2}\right)} \blacktriangleleft 座標平面上の内分点の座標
Gの座標は
\left(\dfrac{x_1 + 2\cdot\dfrac{x_2 +x_3}{2}}{2+1}\right. ,
\qquad\left.\dfrac{y_1 + 2\cdot\dfrac{y_2 +y_3}{2}}{2+1}\right) \blacktriangleleft 座標平面上の内分点の座標
である.このx 座標,y 座標をそれぞれ計算して, \boldsymbol{\left(\dfrac{x_1 +x_2 +x_3}{3},~\dfrac{y_1 +y_2 +y_3}{3}\right)}がGの座標になる.
座標平面上の三角形の重心の座標
座標平面上の3点A(x_1, y_1),B(x_2,y_2),C(x_3, y_3)について, \vartriangle ABCの重心Gの座標は
G\left(\dfrac{x_1 +x_2 +x_3}{3},~\dfrac{y_1 +y_2 +y_3}{3}\right)
である.
吹き出し三角形の重心
三角形の重心の座標は三角形の3頂点の座標の平均だと覚えるとよい.
三角形の重心
A(3, 2),B( − 1, 4),C( − 3, − 5)に対し,\vartriangle ABCの重心Gの座標を求めよ.
A(1, a),B(b, 2),C(3, − 3)の重心が原点であるとき,a, bの値を求めよ.
G(x, y)とすると
x=\dfrac{3 +(-1) +(-3)}{3}=\boldsymbol{-\dfrac{1}{3}}
y=\dfrac{2 +4 +(-5)}{3}=\boldsymbol{\dfrac{1}{3}}
重心の座標が(0, 0)なので
\left(\dfrac{1 +b +3}{3},~\dfrac{a +2 +(-3)}{3}\right)=(0,~0)
\Leftrightarrow \begin{cases} &1 +b +3 = 0\\ &a +2 +(-3) = 0 \end{cases}
\therefore~~ \boldsymbol{(a,~b) = (1,-4)}