空間図形

直線と平面

2つの直線の位置関係

2つの直線の位置関係

異なる2直線 $l,m$ の位置関係には次の3つの場合がある.

1),2)の場合は2直線は同じ平面上にあり,3)の場合は同じ平面上にない.

説明文
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3)の場合,次の図のように,任意の1点 $\text{O}$ を通り $l,m$ にそれぞれ平行な直線 $l',m'$ をひくと, 点 $\text{O}$ のとり方に関係なく,2つの角 $\theta,\varphi$ が決まる. $\theta+\varphi=180^\circ$ となるので, 片方の角度が決まればもう片方の角度も決まる.この2つの角のうち大きくないほう,すなわち $\theta\leqq\varphi$ のときの $\theta$ を2直線 $l,m$ のなす角という.

2),3)の場合において,特に $l,m$ のなす角が直角であるとき, $l$ と $m$ は垂直であるといい, $l{\bot}m$ と書く.さらに,垂直である2直線が交わるとき,直交するという.

直線と平面との位置関係

直線と平面との位置関係

直線 $l$ と平面 $\alpha$ の位置関係には,次の3つの場合がある.

次の図のように,直線 $l$ が平面 $\alpha$ 上のすべての直線と垂直であるとき, $l$ と $\alpha$ は垂直である,または直交するといい, $l{\bot}\alpha$ と表す.また,このとき, $l$ を平面 $\alpha$ の垂線という.

説明文
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実は,直線 $l$ が平面 $\alpha$ 上の異なる2直線と垂直であれば, $l$ は $\alpha$ 上のすべての直線と垂直となって, $l{\bot}\alpha$ となる.

平面 $\alpha$ 上にない点 $\text{A}$ を通る $\alpha$ の垂線が,平面 $\alpha$ と交わる点 $\text{H}$ を,点 $\text{A}$ から平面 $\alpha$ におろした垂線の足という.

2つの平面の位置関係

2つの平面の位置関係

異なる2平面 $\alpha,\beta$ の位置関係には,次の2つの場合がある.

1)のように,2平面 $\alpha,\beta$ が共有点をもたないとき,この2平面は平行であるといい, $\alpha\parallel\beta$ とかく.

また,2)のように,2つの平面 $\alpha,\beta$ が共有点をもつとき,この2平面はその共有点を含むある1つの直線を共有する.このとき,この2平面は交わるといい,この直線を $\alpha$ と $\beta$ の交線という.

説明文
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交わる2平面 $\alpha,\beta$ の交線上の点 $\text{P}$ から交線に垂直な直線 $\text{PA},\text{PB}$ をそれぞれ $\alpha,\beta$ 上に引くと, $\text{P}$ のとり方に関係なく $\angle{\text{APB}}$ の大きさは一定となる.この角を2平面 $\alpha,\beta$ のなす角という. 特に, $\angle{\text{APB}}=90^\circ$ のとき, $\alpha$ と $\beta$ は直交する,または垂直であるといい, $\alpha\perp\beta$ と書く.

三垂線の定理

三垂線の定理

三垂線の定理

平面 $\alpha$ とその上の直線 $l$ がある.このとき, $\alpha$ 上にない点 $\mathrm{A},\alpha$ 上にあるが $l$ 上にない点 $\mathrm{O},$ および $l$ 上の点 $\mathrm{B},$ について,次の三垂線の定理が成り立つ.

  1. $\mathrm{\text{OA}}\perp\alpha,\mathrm{\text{OB}}\perp\alpha$ ならば $\mathrm{\text{AB}}\perp{l}$
  2. $\mathrm{\text{OA}}\perp\alpha,\mathrm{\text{AB}}\perp\alpha$ ならば $\mathrm{\text{OB}}\perp{l}$
  3. $\mathrm{\text{OB}}\perp{l},\mathrm{\text{AB}}\perp{l},\mathrm{\text{OA}}\perp\mathrm{\text{OB}}$ ならば $\mathrm{\text{OA}}\perp\alpha$

多面体

多面体とは何か

多面体とは何か

多面体

三角錐,四角柱などのように,平面だけで囲まれた立体を多面体といい,へこみのない多面体をとつ多面体という.

正多面体とは何か

正多面体とは何か

空間図形において,全ての面が合同な正多角形からなり,各頂点に集まる辺の数が全て等しい多面体のことを正多面体 regular polyhedronという.

$\uparrow$ たとえば,正四面体は正多面体であるが,正四面体2つを重ねてできる六面体は,頂点に集まる辺の数が3つの場合と4つの場合があるので,正多面体ではない.

説明文
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正多面体は

  1. 正四面体
  2. 正六面体(立方体)
  3. 正八面体
  4. 正十二面体
  5. 正二十面体

の5つしかないことが知られている.

$\uparrow$ 輪郭がへこんでいる多面体は,おう多面体 concave polyhedronといい,普通の多面体であるとつ多面体 convex polyhedronとは区別する.

説明文
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凹多面体も多面体に含めると,正多面体は全部で9つあることが知られている. 右の図は,正凹多面体の1つである.

オイラーの多面体定理

オイラーの多面体定理

オイラーの多面体定理

一般に,凸多面体の頂点の数を $v$ ,辺の数を $e$ ,面の数を $f$ とすると

\[v-e+f=2\]

が成り立つことが知られている.これをオイラーの多面体定理という.