数学II 第6章 微分法 — 方程式・不等式への応用

この節の前提数学I2次不等式と2次関数/関数のグラフ

前節までに学んだ関数のグラフを活用することにより、方程式の実数解の様子を調べたり、不等式を証明したりできるようになる。ここでは、その方法について考えてみよう。

方程式の解の個数

方程式の解の個数とグラフの関係

たとえば、方程式 の実数解の個数はいくつかという問いを考えてみよう。

この方程式 の実数解は、関数 のグラフと、 軸との交点の 座標であるといえる。なぜなら、このグラフ と 軸( )の交点の 座標を求めるのには、連立方程式 を解くことになり、これから を消去すると結局、方程式 の実数解を求めることになるからである。したがって、 の実数解の様子は、 のグラフを調べることによって判断することができる。

を で微分すると となる。ここで、 の右辺を とおくと、増減表は次の表のようになる。

いま、、 の値は なので、 のグラフを描くと、次の図のようになる。

座標平面上に3次関数 y=x^3-6x^2+9x-3 の曲線が描かれ、点(1, 1)で極大、点(3, -3)で極小となっている。曲線は x 軸と3か所で交わり、その交点それぞれに「解」と書かれた矢印が向けられている。

この図より、 のグラフは 軸と3つの交点をもつので、方程式 は3つの実数解をもつことがわかる。

問題13次方程式の解の個数(定数を分離する方法)

を定数とするとき、方程式 について、以下の問いに答えよ。

  1. 方程式 が異なる3つの実数解をもつ の値の範囲を求めよ。
  2. 方程式 が異なる3つの実数解をもつとする。この解を とおくとき、 のとり得る値の範囲を求めよ。
解答を見る

与えられた方程式 は と変形できるので、この方程式の実数解は、 のグラフと のグラフの交点の 座標に等しい。

ここで、 とおくと となるので、 の増減表は

となる。

  1. 上の増減表より、 のグラフは次の図のようになる。

    座標平面上に曲線 y=-x^3+3x^2 があり、原点で極小値0、点(2, 4)で極大値4をとる。ここへ水平な直線 y=a を重ねると3点で交わり、右側の縦向きの両矢印が a の動ける範囲を0から4まで示している。

    これに のグラフを重ねたとき、 のグラフとの交点が3つになるとき、方程式 が3つの異なる実数解をもつ。

    は 軸に平行な直線だから、交点が3つになるのは、この直線が極小値 と極大値 の間にあるときである。よって、このような の値の範囲は、上の図より である。

  2. と のグラフの交点の 座標が、方程式 の解である。

    曲線 y=-x^3+3x^2 と直線 y=a の3つの交点の x 座標に、左から α、β、γ と書かれている。原点から点(2, 4)の真下までを結ぶ横向きの両矢印があり、β が0と2の間の値をとることを示している。

    であるから、 は3つの交点のうち真ん中のものの 座標である。よって、上の図より のとり得る値の範囲は、 となる。

問題23次方程式の解の個数(定数を分離できない場合)

を定数とするとき、方程式 が異なる3つの実数解をもつ の値の範囲を求めよ。

解答を見る

与えられた方程式 の実数解は、 のグラフと 軸( のグラフ)の交点の 座標に等しい。

ここで、 とおくと となるので、 で の値は となる。

ここで、 と が等しい場合、つまり の場合には、 となる。

このとき、増減表は以下のようになる。

このとき、 は増加するだけなので、 のグラフが 軸と3つの交点をもつことはない。したがって、以下、 の場合について考える。

の場合の増減表は、 と のどちらが大きいかによって次の2種類になる。

のとき(このとき )

のとき(このとき )

の場合、 が極大値、 が極小値である。 と 軸が3つの交点をもつのは、極大値が 軸より上、極小値が 軸より下にあるときだから、その条件は

x 軸と3点で交わる3次関数 y=f(x) の曲線。x=a で極大となりその点は x 軸より上にあることが上向きの矢印で、x=-a+2 で極小となりその点は x 軸より下にあることが下向きの矢印で示されている。

の場合は極大と極小が入れかわるので、 と 軸が3つの交点をもつ条件は

x 軸と3点で交わる3次関数 y=f(x) の曲線。x=-a+2 で極大となりその点は x 軸より上にあることが上向きの矢印で、x=a で極小となりその点は x 軸より下にあることが下向きの矢印で示されている。

これらの条件は、どちらも と が異符号であることと同値であるから、 と は とまとめることができる。ここで であるから

より、 が答えとなる。

微分法を用いた不等式の証明

不等式の証明について

で、不等式 を証明するためには、これと同値である を証明すればよい。それには、 で関数 の増減を調べ、 を示せばよい。

問題3不等式の証明

のとき、次の不等式が成り立つことを証明せよ。

解答を見る

であるから、 が で、常に となることを示せばよい。 となるので、 における増減表は以下のようになる。

これより、 のグラフは次の図のようになる。

曲線 y=x^3-6x^2+9x のうち、x が0以上の部分が実線、0より小さい部分が破線で描かれている。原点を出て点(1, 4)で極大となり、x 軸上の点(3, 0)で極小となってから右上へ伸びている。

増減表より、 における の最も小さい値は と であり、どちらも である。したがって、 は で常に を満たす。

問題4文字定数を含む不等式

のとき、不等式 が常に成り立つのは、定数 がどのような範囲にあるときか求めよ。

解答を見る

[左辺 右辺 を考える方法]

であるから、 が で、常に となるための の値の範囲を求めればよい。 となるので、 における増減表は以下のようになる。

また、、 の値は である。

で、常に となるには、 のグラフは次の図のようになればよい。

x が0以上の範囲だけ描かれた曲線 y=x^3-6x^2-a。y 軸上の -a から下がって x=4 で最小値 -32-a をとり、そこから右上へ伸びる。曲線全体が x 軸より上にあり、最小となる点から x 軸の 4 と y 軸の -32-a へ破線が引かれている。

増減表より、 における の最小値は のときの である。グラフ全体が 軸より上にあるには、この最小値が正であればよいから

解答を見る

[文字定数を分離する方法]

とおく。この が で、常に となるための の値の範囲を求めればよい。 となるので、 における増減表は以下のようになる。

また、、 の値は である。

のグラフは次の図のようになる。

x が0以上の範囲だけ描かれた曲線 y=x^3-6x^2。原点 O を出て下がり、x=4 で最小値 -32 をとってから右上へ伸びる。最小となる点から x 軸の 4 と y 軸の -32 へ破線が引かれている。

における の最小値は のときの である。 で常に となるのは、 がこの最小値より小さいときだから、求める範囲は となる。

最終更新: 2026-09-03

この節についてAIに質問する

この節に書かれている内容だけを根拠に答えます。個人情報は書かないでください。