数学II 第4章 指数と指数関数 — 指数の拡張
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今まで学んできた指数は自然数乗しか考えてこなかったが、ここでは指数法則をたよりに、実数乗の指数へ拡張していく。指数を拡張していく際に、累乗根が指数で表現されていく様子に注意しよう。
指数の整数への拡張
3^-2の意味
3^ − 2の意味
指数法則1.は、指数が自然数の場合、すなわち、正の整数の場合について成り立つ性質であるが、 ここでは、指数を0や負の整数を含む一般の整数にまで拡張することを考えてみよう。
仮に3^ − 2という数があったとして、その意味について考えてみよう。 3²が「3を2かけた数」であったから、3^ − 2は「3を − 2回かけた数」とでもなるのであろうが、 「 − 2回かける」では意味不明である。
そこで、「指数の仲間なのだから指数法則を満たすだろう」と考え、その体系の中で 矛盾が生じないよう「 − 2回かける」を決められないか(意味づけられないか) 少し考えてみよう。
たとえば、 3⁶×3^-2という計算があったとして、これが指数法則1.を満たすとすると
3⁶×3^-2=3^6-2=3⁴
となる。ここで、3^ − 2をXで表すと
3⁶×X=3⁴
となる。この式を満たすXを求めると、 X=3⁴/3⁶=1/3²である。 つまり、3^ − 2は1/3²であると考えると都合がよい。
3⁰の意味
また、 3²×3⁰という計算があったとして、これが指数法則1.を満たすとすると
3²×3⁰=3^2+0=3²
となる。ここで、3⁰をYで表すと
3²×Y=3²
となる。この式を満たすYを求めると、 Y=3²/3²=1である。つまり、3⁰は1であると考えると都合がよい。
指数の整数への拡張について
一般に、指数が自然数の場合に成り立つ指数法則1.において、指数xが0のときにも成り立つとすると
a⁰a^y=a^0+y=a^y
であるから、 a⁰ = 1と考えると都合がよい。
さらに、指数法則1.がxを正の整数として、 y = − xのときにも成り立つとすると
a^xa^-x=a^x-x=a⁰=1
であるから、 a^-x=1/a^xと考えると都合がよい(xが負の整数の場合も同様である)。
§
定義1整数に拡張された指数の定義
0でない実数aに関して、xが整数のとき
a⁰=1 , a^-x=1/a^x
とする。
例としてa^nをいくつか列挙すると次のようになる。
… , a³ , a² , a¹=a , a⁰=1 , a^-1=1/a , a^-2=1/a² , a^-3=1/a³ , …
§
定理2整数に拡張された指数法則
整数x, yについて次のような性質が成り立つ。 ただし、a, bは0でない実数とする。
- a^xa^y=a^x+y
- (a^x)^y=a^xy
- (ab)^x=a^xb^x
- 1'. a^x/a^y=a^x-y
- 3'. (a/b)^x=a^x/b^x
問題1整数に拡張された指数
x = 3, y = − 2として、整数に拡張された指数法則1.、2.、3.が成り立つのを確認せよ。
解答を見る
の確認
(左辺) =a³a^-2=a³×1/a²=a
(右辺) =a^3+(-2)=a
となり、確かに成立する。
の確認
(左辺) =(a³)^-2=1/(a³)²=1/a⁶
(右辺) =a^3・(-2)=a^-6=1/a⁶
となり、確かに成立する。
の確認
(左辺) =(ab)^-2=1/(ab)²=1/a²b²
(右辺) =a^-2b^-2=1/a²×1/b²=1/a²b²
となり、確かに成立する。
問題2整数に拡張された指数法則1'., 3'.の証明
整数に拡張された指数法則1'.、3'.を、整数に拡張された指数法則1.、2.、3.を用いて証明せよ。
解答を見る
の証明
a^x/a^y=a^x×1/a^y=a^x×a^-y =a^x-y
の証明
(a/b)^x=(a×1/b)^x=(a× b^-1)^x
=a^x× (b^-1)^x
=a^x× b^-x
=a^x×1/b^x=a^x/b^x
問題3指数の計算-その1-
次の計算をせよ。
- 2・2^-22^-3
- 10¹⁰2⁷・5⁵
- (a²b)³/(-ab³)²
- (a⁵b^-2)^-3(a^-2b)⁵
解答を見る
- 計算していくと
2・2^-22^-3=2・2^-2・2³
=2^1-2+3
=2²=4
- 計算していくと
10¹⁰2⁷・5⁵=(10)¹⁰・2^-7・5^-5
=(2・5)¹⁰・2^-7・5^-5
=2¹⁰・5¹⁰・2^-7・5^-5
=2^10-7・5^10-5
=2³・5⁵=25000
- 計算していくと
(a²b)³/(-ab³)²=a⁶b³/a²b⁶
=a⁶b³a^-2b^-6
=a^6-2b^3-6
=a⁴b^-3
- 計算していくと
(a⁵b^-2)^-3(a^-2b)⁵=a^-15b⁶a^-10b⁵
=a^-15b⁶a¹⁰b^-5
=a^-15+10b^6-5
=a^-5b
指数の有理数への拡張
3^1/2の意味
3¹²の意味
3¹²の意味
今度は、整数に拡張された指数法則2.を使って、指数を有理数に拡張することを考えよう。
たとえば、指数部分が有理数1/2である、3^1/2という数の意味は何だろうか。 3²が「3を2回かけた数」であったから、3^1/2は「3を1/2回かけた数」とでもなるのであろうが、 「1/2回かける」では意味不明である。
そこで、やはり「指数なのだから指数法則を満たすだろう」と考え、その体系の中で矛盾を生じないように考えていくことにする。
たとえば、(3¹/2)²という数があったとして、これが整数に拡張された指数法則2.を満たすとすると
(3¹/2)²=3^1/2×2=3¹
となる。ここで、3¹/2をXで表すと
X²=3
となる。この式を満たすXは、3の平方根であるから、3¹/2は√3であると考えられる (もうひとつの平方根-√3は-3¹/2であると考えればよい)。
3^2/3の意味
3²³の意味
また、仮に3²/3という数があったとして、これが整数に拡張された指数法則2.を満たすとすると
(3²/3)³=3^2/3×3=3²
となる。ここで、3²/3をYで表すと
Y³=3²
となる。この式を満たすYは、3²の立方根であり、 Y=√[3]3²となる。 つまり、3²/3は√[3]3²であると考えられる。
指数の有理数への拡張について
以上の話を一般化して、 a > 0のとき、有理数xを指数とする数a^xを定義してみよう。
整数に拡張された指数法則2.が、 xをm/n、yをn(m, nは自然数) としても成り立つとすると
(a^m/n)^n=a^m
すなわち、n乗するとa^mになるので、a^m/nはa^mのn乗根(のうち正の方)√[n]a^mと考えればよい。
§
定義3有理数に拡張された指数の定義
a > 0で、mを整数、nを自然数とするとき
a^m/n=√[n]a^m
とする。
たとえば、 √[3]5=5¹/3, √[5]8=√[5]2³=2³/5である。
問題4指数と累乗
次のうち、a^m/nの形で表されたものは√[n]a^mの形で表し、 √[n]a^mの形で表されたものはa^m/nの形で表せ。
- a¹/2
- a²/5
- a^-3/2
- a^-2/5
- √[5]a
- √[3]a⁵
- √[6]a^-3
- 1√[4]a³
解答を見る
- a¹/2=√a
- a²/5=√[5]a²
- a^-3/2=√[2]a^-3
- a^-2/5=√[5]a^-2
- √[5]a=a¹/5
- √[3]a⁵=a⁵/3
- √[6]a^-3=a^(-3)/6=a^-1/2
- 1√[4]a³=√[4]1/a³=√[4]a^-3=a^-3/4
§
定理4有理数に拡張された指数法則
有理数x, yについて次の等式が成り立つ。ただし、a, bは正の実数とする。
- a^xa^y=a^x+y
- (a^x)^y=a^xy
- (ab)^x=a^xb^x
- 1'. a^x/a^y=a^x-y
- 3'. (a/b)^x=a^x/b^x
問題5有理数に拡張された指数
p=2/3, q=1/3として、上の有理数に拡張された指数法則1.、2.、3.が成り立つのを確認せよ。
解答を見る
- の確認
(左辺)
=a^(2/3)a¹/3=√[3]a²√[3]a
=√[3]a³
=a
(右辺)
=a^2/3+1/3=a
となり、確かに成立する。
- の確認
(左辺)
=(a²/3)¹/3=√[3]√[3]a²
=√[9]a²
(右辺)
=a^2/3×1/3=a²/9=√[9]a²
となり、確かに成立する。
- の確認
(左辺) =(ab)²/3=√[3](ab)²=√[3]a²b²
(右辺) =a^(2/3)b²/3=√[3]a²√[3]b²
=√[3]a²b²
問題6指数の計算-その2-
次の値を求めよ。
- 100¹/2
- 25^-1/2
- 8^-2/3
- 16^0.75
解答を見る
100¹/2=(10²)¹/2 =10^2×1/2 =10
25^-1/2=(5²)^-1/2 =5^2×(-1/2) =5^-1=1/5
8^-2/3=(2³)^-2/3 =2^3×(-2/3) =2^-2=1/4
16^0.75=16⁷5/100=16³/4=(2⁴)³/4 =2^4×3/4 =2³=8
問題7累乗根の値を求める-その2-(再掲)
累乗根の値を求める-その2-の例題を、指数になおすことによって計算せよ。 答えは根号を使わず、指数のままでよい。
- √[3]4√[3]16
- √[5]96√[5]3
- √[3]216
- √[3]√729
- √[6]8
- √[15]27
解答を見る
√[3]4√[3]16=√[3]2²√[3]2⁴
=2^(2/3)2⁴/3
=2^2/3+4/3
=2²=4
√[5]96√[5]3=(96¹/5)/(3¹/5)
=(96/3)¹/5=32¹/5=(2⁵)¹/5
=2^5・1/5
=2
3.√[3]216=√[3]6³=6
4.√[3]√729=(729¹/2)¹/3
=729^1/2・1/3
=729¹/6=(3⁶)¹/6
=3^6・1/6
=3
5.√[6]8=√[6]2³
=2³/6
=2¹/2
6.√[15]27=√[15]3³
=3³/15
=3¹/5
指数の実数への拡張
指数の実数への拡張について
a > 0のとき、指数xが無理数の場合にも、a^xを定めることができる。たとえば、a^√2では、 √2=1.4142…だから
a¹ , a^1.4 , a^1.41 , a^1.414 , a^1.4142 , …
を考えると、これらはある一定の値に近づいていくので、その値をa^√2と定める。 このようにして、無理数pに対して、a^pを定めると、指数法則が成り立つことが知られている。
§
定理5実数に拡張された指数法則
実数x, yについて次の等式が成り立つ。ただし、a, bは正の実数とする。
- a^xa^y=a^x+y
- (a^x)^y=a^xy
- (ab)^x=a^xb^x
- 1'. a^x/a^y=a^x-y
- 3'. (a/b)^x=a^x/b^x
最終更新: 2026-08-20
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