数学II 第4章 指数と指数関数 — 指数の拡張

今まで学んできた指数は自然数乗しか考えてこなかったが、ここでは指数法則をたよりに、実数乗の指数へ拡張していく。指数を拡張していく際に、累乗根が指数で表現されていく様子に注意しよう。

指数の整数への拡張

の意味

の意味

指数法則1.は、指数が自然数の場合、すなわち、正の整数の場合について成り立つ性質であるが、 ここでは、指数をや負の整数を含む一般の整数にまで拡張することを考えてみよう。

仮にという数があったとして、その意味について考えてみよう。 が「かけた数」であったから、は「回かけた数」とでもなるのであろうが、 「 回かける」では意味不明である。

そこで、「指数の仲間なのだから指数法則を満たすだろう」と考え、その体系の中で 矛盾が生じないよう「 回かける」を決められないか(意味づけられないか) 少し考えてみよう。

たとえば、 という計算があったとして、これが指数法則1.を満たすとすると

となる。ここで、で表すと

となる。この式を満たすを求めると、 である。 つまり、であると考えると都合がよい。

の意味

また、 という計算があったとして、これが指数法則1.を満たすとすると

となる。ここで、で表すと

となる。この式を満たすを求めると、 である。つまり、であると考えると都合がよい。

指数の整数への拡張について

一般に、指数が自然数の場合に成り立つ指数法則1.において、指数のときにも成り立つとすると

であるから、 と考えると都合がよい。

さらに、指数法則1.を正の整数として、 のときにも成り立つとすると

であるから、 と考えると都合がよい(が負の整数の場合も同様である)。

§

定義1整数に拡張された指数の定義

でない実数に関して、が整数のとき

とする。

例としてをいくつか列挙すると次のようになる。

§

定理2整数に拡張された指数法則

整数について次のような性質が成り立つ。 ただし、でない実数とする。

  • 1'.
  • 3'.

問題1整数に拡張された指数

として、整数に拡張された指数法則1.、2.、3.が成り立つのを確認せよ。

解答を見る

の確認

(左辺)

(右辺)

となり、確かに成立する。

の確認

(左辺)

(右辺)

となり、確かに成立する。

の確認

(左辺)

(右辺)

となり、確かに成立する。

問題2整数に拡張された指数法則1'., 3'.の証明

整数に拡張された指数法則1'.、3'.を、整数に拡張された指数法則1.、2.、3.を用いて証明せよ。

解答を見る
  • 1'.

の証明

  • 3'.

の証明

問題3指数の計算-その1-

次の計算をせよ。

解答を見る
  1. 計算していくと

  1. 計算していくと

  1. 計算していくと

  1. 計算していくと

指数の有理数への拡張

の意味

の意味

の意味

今度は、整数に拡張された指数法則2.を使って、指数を有理数に拡張することを考えよう。

たとえば、指数部分が有理数である、という数の意味は何だろうか。 が「回かけた数」であったから、は「回かけた数」とでもなるのであろうが、 「回かける」では意味不明である。

そこで、やはり「指数なのだから指数法則を満たすだろう」と考え、その体系の中で矛盾を生じないように考えていくことにする。

たとえば、(という数があったとして、これが整数に拡張された指数法則2.を満たすとすると

となる。ここで、で表すと

となる。この式を満たすは、の平方根であるから、であると考えられる (もうひとつの平方根であると考えればよい)。

の意味

の意味

また、仮にという数があったとして、これが整数に拡張された指数法則2.を満たすとすると

となる。ここで、で表すと

となる。この式を満たすは、の立方根であり、 となる。 つまり、であると考えられる。

指数の有理数への拡張について

以上の話を一般化して、 のとき、有理数を指数とする数を定義してみよう。

整数に拡張された指数法則2.が、 は自然数) としても成り立つとすると

すなわち、乗するとになるので、乗根(のうち正の方)と考えればよい。

§

定義3有理数に拡張された指数の定義

で、を整数、を自然数とするとき

とする。

たとえば、 である。

問題4指数と累乗

次のうち、の形で表されたものはの形で表し、 の形で表されたものはの形で表せ。

解答を見る
§

定理4有理数に拡張された指数法則

有理数について次の等式が成り立つ。ただし、は正の実数とする。

  • 1'.
  • 3'.

問題5有理数に拡張された指数

として、上の有理数に拡張された指数法則1.、2.、3.が成り立つのを確認せよ。

解答を見る
  1. の確認

(左辺)

(右辺)

となり、確かに成立する。

  1. の確認

(左辺)

(右辺)

となり、確かに成立する。

  1. の確認

(左辺)

(右辺)

問題6指数の計算-その2-

次の値を求めよ。

解答を見る

問題7累乗根の値を求める-その2-(再掲)

累乗根の値を求める-その2-の例題を、指数になおすことによって計算せよ。 答えは根号を使わず、指数のままでよい。

解答を見る

3. 4.

5.

6.

指数の実数への拡張

指数の実数への拡張について

のとき、指数が無理数の場合にも、を定めることができる。たとえば、では、 だから

を考えると、これらはある一定の値に近づいていくので、その値をと定める。 このようにして、無理数に対して、を定めると、指数法則が成り立つことが知られている。

§

定理5実数に拡張された指数法則

実数について次の等式が成り立つ。ただし、は正の実数とする。

  • 1'.
  • 3'.

最終更新: 2026-08-20

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